fedge
2026-03-10 20:20:19
53651文字
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ドラゴンテールへようこそ!

ナタ+αのCPなしオールキャラ。
竜とふれあいながら飲めるイベント「ドラゴンテール」を開催することになったナタの面々。お呼ばれした風神と付いてきたファルカも混ざって大宴会!

※普段カピオロ書いてる奴の文章です。ご了承願います


ナド・クライにて

 情報拠点のためにナド・クライへと戻ったファルカは、各所を飛び回りながら新拠点の整備を進めていた。砦に駐在する若い衆から「大団長は変なキノコでも食べたのか?」と疑われる程には、普段の何倍も働いている。キノコが気になるようだったので、その若い衆の一人にはピラミダで買ってきた紫色のキノコをやった。焚火で炙って食ったら意外と美味かったらしい。
 そして今日も今日とて仕事のために、ナシャタウンの冒険者協会を訪ねている。冒険者への依頼リストをキャサリンへと渡して各種手続きを済ませると、ぐぅと豪快な腹音が鳴った。

「うーむ。腹が減ったが、この後すぐにヒーシ島に行かなきゃならん。手軽に済ませられるものにするかっ」

 フラッグシップが俺を呼んでいる気もするが、今は目の前の酒よりも宴会のための休暇だ。ナド・クライ・ホットドックあたりがちょうどいいだろう、と断腸の思いでスペランザへ向かうことにした。カウンターでホットドックを受け取り、欄干に寄りかかって齧りつく。ぶりっとした張りのあるソーセージが弾け、口の中に肉汁が溢れた。カリッと焼かれたパンの香ばしい香りも最高で、サクサクのフライドオニオンが良いアクセントになっている。
 油紙を捲りながら齧り付いていると、店の奥に見慣れた人影を見つけた。悠然とした黒い長身、その傍らには灰の髪が揺れている。向かいの席にはちょこんと座る桃色の頭が見え、その席の横には姿勢を正して直立している機械の肢体があった。

「おや、あそこに居るのはファルカさんじゃないですか」

 ホットドックを咀嚼しながら珍しい組み合わせだなと眺めていたのだが、フリンズと目が合った。わざとらしくこちらへ注意が向くように、彼らしからぬ少し大きめの声で話している。

「あ、ファルカおじさんだ! モンドに帰る、って言ってたのに、もう帰ってきたのー?」

 その声に反応したアイノが、椅子の背もたれに胸を預けてこちらへ振り向く。ぶんぶんと手を振ってきたので、手を振り返しながら彼らの元へと向かう。残っていた最後の一口を押し込み、ソースの残る油紙をくしゃりと丸めた。

「んん、んあんん。んあんんんんんんああ」
「翻訳します。『よう、お前ら。珍しい面子だな』とのことです。推奨:口の中のものを飲み込むことで、正しい発音が可能になります」

 イネファの目がちかっと光り、もごもご語を訳してくれる。ぴたりと正解を当てるあたり、流石イネファだ。
 口の中のホットドックを飲みこみ、酒を頼みたい思いをぐっと堪えて買ったジンジャーエールで流し込む。これに酒を入れられれば最高なんだが。

「こんにちは、ファルカさん。今、フリンズさんと一緒に、アイノちゃんから特別講義を受けていたところなんです」

 少し疲れたような笑みを浮かべるイルーガの前には、印が沢山つけられたノートが広げられている。机上には他にもアイノが持ち込んだであろう、図が沢山描かれた幅広の紙が並んでいた。

「説明します。フリンズさん、イルーガさんがアイノの講義をサボろうとするため、人目のあるところで臨時講義をすることになりました。スペランザの店主さんには、この場所の使用許可をいただいています」
「なるほどな。どおりでこの面子なわけだ」
「ところでファルカさん、その手にあるのはジンジャーエールですか? あなたがお酒以外の飲料を持っているなんて珍しいですね」

 講義の話題から逸らしたいんだろうか。フリンズが飲み物の種類を目ざとく指摘してきた。話したくてたまらなかったので、そのパスは正直ありがたい。

「推測。ファルカさんは『理由を話したい』と思っている可能性があります。また、西風騎士団の皆さんが『ファルカ大団長が凄い勢いで仕事をしている、近いうちに大雨が降るのでは』と噂していたことから、何かしら理由があることは確実だと思われます」

 ハイスペックロボットにはバレていたようだ。

「ああそうだ。俺は話したい! 俺が今、目先の酒を我慢してまで頑張っているのは、ナタである酒宴のためなんだ! 炎神主催で、仔竜と触れ合いながら酒を飲める催し物をするんだ」

 バルバトスには許可を取っていないが、まぁ数人増えたところで問題ないだろう。

「ほう、ナタでの酒宴ですか」
「興味があるならついてくるか? 酒もそうだが、ナタは鉱石資源も豊富だ。こだまの子の辺りで扱ってる宝飾品なんか、お前の気に入る物もあるかもしれん」

 ナド・クライ随一の酒飲み仲間でもあるフリンズを誘ってみれば、悩まし気に腕を組んだ。あと一押しかもしれない。だが眉を寄せたフリンズからは、残念そうな声が返ってきた。

……せっかくのお誘いですが、申し訳ありません。ライトキーパーの職務がありますので」
「そうか、残念だ。ここからナタは近いといっても、日帰りは厳しい距離だもんな」

 ワイルドハントの動きはかなり落ち着き、最近は見回り程度で済んでいると聞いてはいるが、ライトキーパーはまだまだ忙しいらしい。

「フリンズさん、行きたいのであればシフトを調整しましょうか? ここ最近はワイルドハントも落ち着いていますし、二、三日であればお休みを繋げられると思いますよ」

 行きたそうにしていたフリンズに、イルーガが声をかける。分隊長である彼は、マスター・ライトキーパーである養父と共にそういった部分の権限もあるらしい。
 参加できる可能性が見えたからか、フリンズの目がほんの僅かだけ見開かれた。

「本当ですか?」
「ええ。フリンズさんがお休みをしたところに、僕が代わりに入りま」
「ファルカさん、お土産話をお待ちしていますね」

 駄目だったみたいだ。
 少し残念だと肩を落としていると、服の裾をちいさい手に引っ張られた。

「ファルカおじさん、アイノ行きたい! 子どもの竜とあそんでみたい!」

 わくわくと期待に満ちた目で、アイノがファルカを見上げてきた。

「酒の席だからなぁ……子どもにはちと厳しいかもしれん」

 その言葉でしゅんとしょげてしまったアイノには申し訳ないが、流石に子守をしながら酒を飲むのは無理だ。

「提案:私がアイノと共に行動します。ファルカさんはお酒を存分に楽しんでください」
 
 悲しそうなアイノをどう宥めてやろうかと頭を掻いていると、イネファがそう申し出てくれた。

「そうか、イネファはナタに行った時に知り合いができたんだったな。お前がいてくれるなら大丈夫だろう」
「はい。ナタに行くのであれば、花翼の集のチャスカさん、こだまの子のシロネンさんにもお会いしたいです」
「よぉし、それなら三人で行くか!」

 その言葉に、アイノの表情は花が咲いたようにぱぁと明るくなった。

「ありがとう、ファルカおじさん! それで、そのしゅえん?はいつあるの?」
「二週間後だな。日付が近くなったらまた話そう」

 思いのほか賑やかな旅路になりそうだ。楽しいことは皆で分かち合うほうがいい。和気あいあいと話を詰めていたが、そろそろヒーシ島に行かないと、ラウマとの約束に遅れてしまう。

「おっとすまん、その宴に行くためにも仕事を片付けなきゃならねぇ。そろそろお暇させてもらおう」
「私たちもアイノの講義の続きをしましょう。……あの、フリンズさんは」
……居ませんね。真横に居た僕ですら居なくなったことに気づきませんでした。……本当ですよ!? 隠してるわけじゃないです! イネファさん、そんな目で見ないでください!」