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fedge
2026-03-10 20:20:19
53651文字
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ドラゴンテールへようこそ!
ナタ+αのCPなしオールキャラ。
竜とふれあいながら飲めるイベント「ドラゴンテール」を開催することになったナタの面々。お呼ばれした風神と付いてきたファルカも混ざって大宴会!
※普段カピオロ書いてる奴の文章です。ご了承願います
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よーい、スタート!
「最初の競技はレースだ。みんな、黄色いたすきは受け取ったか?」
選手であることを示す目印のたすきが配られ、各々で体に掛ける。ファルカにももちろん配られたのだが、そのままたすきがけにすると発達した胸筋が邪魔をしてぱつぱつになってしまった。どうするか考えた末に、バンテージのように拳に巻いていると、コースの説明が始まった。
「この後、全員で競技場の北口に移動してもらう。そこからスタートで、道なりに左だ。コース沿いには松明が立ててあるから、それを目印にしてくれ! 暫く進むと岩壁に穴が空いている場所がある。誘導のためにスタッフが立っているから、そこから真っすぐ川に降りてくれ」
選手の前に立ったイアンサの手には、この競技場一帯の地図が広げられている。競技場を囲むように深い谷があり、下には川が流れているのだそうだ。今回のコースはその川を利用した水上コースらしい。
「その後は競技場の周りを川に沿って進むと、同じようにスタッフが待っている。そこにはロープクライミングが用意してあるから、備えつけられたロープ、もしくは自分の力で上まで崖を登ってくれ。最後はそのまま道沿いに走って、競技場の正面ゲートでゴールだ! もし途中でトラブルがあったら、アタシもコースを併走してるから、声をかけてほしい。それじゃあみんな、頑張ってくれよな!」
説明を聞き終えてスタート地点へ移動したが、開始まではまだ少し時間がある。皆それぞれにスタートの時を待っている中、ファルカは待ち時間に酒を貰えないかスタッフに声を掛けたが、当然のごとく拒まれてしまった。
「あそこで飯を食ってる、牛ツノの嬢ちゃんがいるじゃないか。それなら俺だって飲んでいいだろ」とスタッフにねだってみたが、アルコールはダメだと再び却下された。ジュースならいいと言われたが、わざわざそんなものを飲む気にはなれなかった。しかたなしに開始までの暇つぶしにと参加者を数えてみれば、どうやら十人ほどが参加しているようだった。
「水上なら、あたしの得意なコースだね! カチーナちゃん、今日は負けないよ! お互いがんばろー!」
「うん! 頑張ろうね、ムアラニちゃん!」
えいえいおー! と元気な女の子たちが騒いでいる近くに、先ほど鋭い視線を返してきた少年が居た。だがその視線は仲睦まじくしている二人に注がれ、口端も少し上がっているようだ。なんだ、そんな顔もできるんじゃないか。
「そうだ、キィニチ。今回もアハウはお留守番?」
「そうしたかったんだが、残念ながらついてきた。いつもなら家で寝てるんだが、今日は宴会があるなら行くと言って聞かなくてな。仕方がないから箱に閉じ込めて、イファのところに預けてきた」
「
……
それ、大丈夫?」
「いつものことだ、問題ない」
「いや、イファお兄さんが大変そうだなって
……
今日はほら、『ドラゴンテール』もあるでしょ?」
「俺もそう思って最初は迷ったんだが、「仔竜が一匹増えたところで、十匹も十一匹もかわんねーよ」とのことだったんで、ありがたく預けさせてもらった」
「それなら
……
大丈夫、なのかなぁ?」
あの子たちも、どうやら今夜の宴の関係者らしい。
六英傑に手伝ってもらったと聞いているが、この子たちがそうなのだろうか。まだ子どものようだが
――
見かけによらず、手練れなのかもしれない。
「始まるぞー! みんな、一列に並んでくれ!」
そうこうしている間に開始時間が来たらしく、イアンサから号令がかかった。スタートラインに一列に並び、合図用の空砲を空に向ける。
「位置について、よーい、スタート!」
晴れ渡る青空の下、パァンと乾いた銃声が鳴った。その音を合図に、選手たちが一斉に駆けだす。からっとした空気に、蹴上げられた砂が舞う。
――
ドーッ、ドーッ、ドッドコー
「ん? なんだってこんな時にドド通話機が?」
風を切って駆けるファルカの懐で、携帯している通話機が鳴る。何か急ぎの用事だろうかと、脚を緩めることなく応答ボタンを押した。
「やっほー、ファルカ」
「バルバトス? なんだ、今試合中だぞ」
風神からの突然の連絡に、緊急事態なのかと身構える。だが通話口から流れてきたのは
――
酔っ払いの戯言だった。
「さぁてやってまいりました第十回『帰火聖夜の巡礼』! 実況はモンドの吟遊詩人、ウェンティと」
「解説、マーヴィカでお送りしよう」
* * *
「各選手、一斉にスタートを切ったぁ! 先頭を行くのはぁ~
……
ピンクの髪の女の子ー! とてつもない速さで走ってるね。沿道にいた女の人が、風圧でよろめいちゃってるよ」
「彼女は豊穣の国のヴァレサだ。おっとりとした性格の彼女だが、その内に秘めているパワフルさには目を見張るものがある」
バルバトスからの通信
……
もとい実況中継に気を取られていると、ぐんと速度を上げた少女が集団から頭ひとつ抜けた。あれは、でっかいハンバーガーを食べていた牛ツノの嬢ちゃんだ。
「うぉぉぉ! 負けてられねぇ!」
こういうのは全力でやるからこそ楽しいんだ。にっと力強い笑みを浮かべたファルカは、地面を蹴る脚に力を入れる。大地を揺るがすような力強い足取りでヴァレサの後を追った。
「ここで集団からファルカも飛び出したぁ! その後に
……
えっと、あのバンダナの人は
……
そうそう! キィニチ! そのあとに青色の服をきたおじ
……
えっと、エンテレゴが続いていまーす!」
胸元にしまっているドド通話機がやかましく実況を垂れ流す中、チェックポイントだという岩壁が見えてきた。ここから下に降りて、川沿いを走るんだったか。
「いっくよー!!」
先頭を走っていたヴァレサが、岩壁を抜けた先の崖へ
――
加速したまま突っ込んでいった。崖際を強く踏みこんで宙に身を躍らせると、さながら砲弾のように、対岸まで跳んでいった。
「おおっとぉ~? 先頭を走っていたヴァレサ選手、大幅にコースアウトぉ~! 凄まじい速さで崖に飛び出して、対岸に着地したみたいだね~」
「コースアウトのペナルティとして、チェックポイントのスタッフの所からやり直しだ。並走していたイアンサから、その旨の説明が入るだろう。気を落とさずに頑張ってくれ!」
「
……
、戻っ
……
! チェッ
……
最
……
!」
「
……
あれ、もしかしてやっちゃったぁ
……
?」
……
対岸からホイッスルの音と、困ったような声が小さく聞こえてくる。並走していたスタッフのイアンサに誘導されて、先程飛び出していったヴァレサがこちらに向けて戻ってくる。
「いや待て。確か、イアンサも同時スタートだった筈だが
……
?」
困惑しているファルカの横を、小柄な少年が駆け抜けていく。先程のバンダナの少年だ。崖に辿り着いた彼
――
キィニチは、風の翼を開くでもなく、鍵縄を岩壁に掛けて勢いを殺しながら、次々に縄のポイントを変えて手際よく降りていく。
「ここでキィニチ選手が逆転! すごく慣れている身のこなしだねぇ」
「キィニチはエクストリームスポーツを好んでいるのもあって、身のこなしは抜群だ。彼は競技大会になった『帰火聖夜の巡礼』の初代チャンピオンだ。流石の実力だな」
やはりあの子は相当な実力者だったらしい。
「おっと、このままじゃ追いつけねえな」
こうしちゃいられねぇ、と続いてファルカも崖に繰り出した。自由落下に身を任せて、空中から目途を付けた足場に剣を叩きつけながら着地する。
「ひゅ~。ファルカもやるねぇ」
実況を忘れたバルバトスの感嘆する声が聞こえてくる。いいぞもっと褒めろ。
しかしそれに浸っている時間は無さそうだ。だいぶ浅い川ではあるが、脛のあたりまで水位がある。水飛沫を上げながら走っていってもいいが、水の抵抗は馬鹿にならないだろう。
前を見れば、一位を走るキィニチが、水辺の岩をジグザグに飛び移りながら進んでいる。他に手はない。真似するしかないだろうと、岩を蹴って彼の後を追った。
……
みしりと音が聞こえた気がしないでもないが、気にしないことにしよう。
「しかしなんだ。やたら水スライムが多いな」
水辺と言うこともあってか、視界にいくらかの水スライムが見える。スライム如きどうとでもなるだろうが、少しばかり違和感を覚えた。
すると水面を小さな雷撃が走り抜けた。
――
いや、小さな人間だ。雷元素を纏い、槍を構えながら一番大きな水スライムに向けて突進していった。その衝撃に水スライムは大きく吹き飛ばされ、コースから少し離れた場所に落ちた。
「こっちは片付けておくから、気にしないでくれー!」
イアンサは残りの水スライムを団子のように突き刺しながら、後続の走者たちを誘導しているようだ。
「
……
はっはっは! ナタには面白い人間が沢山いるみたいだな! ますます今夜が楽しみだ!」
先に行くキィニチに離されないようにしねぇとな、と、ファルカは再び岩を蹴る。だが、ずるりと体勢を崩してしまった。
「うおっ!? 滑るんだが!?」
なんとか身を立て直して、川底を蹴ってルートを修正する。くすくすと笑う声が、通話機から漏れ聞こえてきた。
「水スライムの粘液だねぇ」
「笑うなよー。ところで実況は飽きたのか? バルバトス」
「いやぁ、グレインチップが美味しくってさ。蜜酒の甘味に、丁度いい塩気が最高だねぇ~」
「おい、ずるいぞ!」
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