fedge
2026-03-10 20:20:19
53651文字
Public
 

ドラゴンテールへようこそ!

ナタ+αのCPなしオールキャラ。
竜とふれあいながら飲めるイベント「ドラゴンテール」を開催することになったナタの面々。お呼ばれした風神と付いてきたファルカも混ざって大宴会!

※普段カピオロ書いてる奴の文章です。ご了承願います


開会式

「これより、『帰火聖夜の巡礼』の開催を宣言する!」

 マーヴィカの凛とした宣言と共に、『帰火聖夜の巡礼』の幕が開けた。大戦を終え、競技大会として役割を変えたこの大会は、今回でちょうど十回目となるらしい。
 
「すっごい人だねー! イネファはこの大会、見たことあるの?」
「いいえ。私が以前ナタに来た時は、開催期間ではありませんでした」

 熱気に溢れる競技場は、ナド・クライでは見られないものだ。アイノがきらきらとした目で、辺りを見回している。その様子を微笑ましく思いながら、ファルカは手にしていた蜜酒をぐぃと喉に流し入れた。
 じわりと暑い中、キンキンに冷やされた蜜酒が優しい甘さとともに全身に染み渡る。この後にメインイベントの宴会が控えているが、それはそれ、これはこれ、だ。

「くぅ~! この熱気の中で飲む冷えた一杯は最高だな!」
「わかる~!」

 マーヴィカが用意してくれた特等席に腰掛けながら、ウェンティとファルカは蜜酒を呷る。競技場の中心には今回の大会の出場者が集まっており、スタートの宣言を今か今かと待ちわびている。

「ん? あのバンダナの少年は……ナド・クライで見かけたことがあるな。ナタの人間だったのか」

 確か秘聞の館の近くですれ違ったことがある。そういえば、うるさいペットも連れていたような、と何の気なしにその少年へ視線を注ぐと、振り向いた少年と目が合った、気がした。
 いや、気のせいではなさそうだ。相当な距離があるのに気取られたらしい。大した奴だなと感心していると、マーヴィカからまた別のアナウンスが入った。

「第十回目の開催である今回も、ルールは前回と同様だ。予選はレースと球技対決で行い、それらの総合ポイントが高い、上位四名を本選出場者とする。本選は模擬試合だ。各位、練習の成果を存分に発揮して欲しい!」

 高らかな宣言に、会場からわっと歓声が上がった。

「さらに今回は、特別なゲストも来てくれている。モンドの西風騎士団の大団長、ファルカだ! 彼にはエキシビジョンマッチとして、優勝者と模擬試合を行ってもらう!」
「んぐっ!? ゲホッゲホッ……おーい、マーヴィカ! そんな話、聞いてないぞ!?」

 大観衆の前で突然名前を呼ばれ、驚きで含んでいた蜜酒が変なところに入った。エキシビジョンマッチだなんて聞いていない。寝耳に水、気管に酒だ。
 思わず抗議の声を上げると、マーヴィカはニッと挑戦的な笑みを浮かべてこちらに視線を向けてきた。

「君は、この類の催し物は好きだろう? なんなら、予選から参加してもらっても構わない」
……ああ! ぜひ予選から参加させてもらおう!」

 売られた余興は買うしかないだろう。そう考えてにやりと笑ったファルカは、良く通る大きな声で返事をする。呼応するように会場は更に沸き立ち、辺りの熱気は最高潮だ。

「ファルカさん、こちらに来てください。参加者のところにご案内します」

 承諾することを見越していたのだろうか。すぐにスタッフらしき小柄な白髪の女性が案内に訪れた。

「ああ、すぐに行く! すまん、バルバトス。この酒、預かっておいてくれ」
「わかった! 胃の中で預かっておくよ」
「飲んでるじゃねえか! ……まあ構わん。どうせ後で浴びるほど飲むからな!」

 イアンサと名乗るその女性に連れられ、ファルカは競技場の中央、参加者が集っているエリアに通された。足を踏み入れれば、あたりをぐるりと囲んでいるスタンド席の迫力に圧倒される。

「ま、宴会前の腹ごなしといこうじゃないか」

 こういう空気は嫌いじゃない。ファルカは愛用の大剣を担ぎ上げ、意気揚々と競技場の中心へと歩を進めた。



 * * *


「あ。すみませ~ん、スタッフさーん。出場選手の名簿とかって、もらえたりしない?」

 一方、観客席に残されたウェンティは、何か思いついた様子でふふんと鼻を鳴らして、手近にいたスタッフから出場者の名簿を受け取った。少し厚手のその紙には顔写真が貼られ、部族、名前、簡単なアピールポイントが添えられていた。ざっと目を通して内容を頭に入れると、「この人たちが出るんだって~」と軽く言いながら、名簿をアイノとイネファに押し付けた。

「予選のレースですが、もし道中を御覧になりたいなら遊覧用の気球も出ています。乗られますか?」

 スタッフからの案内に、アイノの顔はぱあっと明るくなった。はやくはやく!とイネファの手を引いている。

「イネファ、気球だって! いこ!」
「ボクはいいかな。アイノちゃんたちだけで行っておいで~。あ、もしよかったら、ドド通話機を持っててよ。ちょっとやってみたいことがあるんだ~」
……? うん、わかった!」

 ひらひらと手を振ってアイノたちを送り出す。ファルカから受け取ったジョッキに口をつけると、氷が少し溶けて薄まってしまっていた。まあ美味しいので問題ないか。
 二つのジョッキをすっかりと空にし、うーんと伸びをしながら立ち上がる。

「さ~てとっ! どのあたりが眺めがいいかなぁ?」

 上機嫌に気ままなメロディを口ずさみ、ウェンティはふわりと風に身を委ねた。