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シノハラ
2025-11-05 00:17:44
76995文字
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無風
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无风短編まとめ
全部全年齢です
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元々夜行性寄りで昼寝するとぐっすり寝ちゃう风が二度寝するだけの无风
いつ帰れるかも怪しいと言ったせいか、帰宅すると風息はソファでぐっすりと眠ってしまっていた。
思った以上に事が順調に進んでまだ日中と呼べる時間の帰宅になったのだが、こんな時間に帰っては来ないと思われていたのかもしれない。
無限も同じ予想をしていたので、風息がそう思っていたとしても不満はない。
はじめこそ座ってうとうとしていたものの、いつの間にか型崩れを起こしてソファに突っ伏したのが明らかな姿勢で風息は寝息を立てていた。
足がソファから下されているせいで腰が捩れていて、無限であれば痛みで目覚めてしまっているかもしれない。
そんな状況ですうすうと気持ちよさそうに寝息を立てられているのは、彼がしなやかな体を持ち合わせているからだろう。
寝始めた時は窓から日が差していて陽だまりになっていたのかもしれないが、今はそれなりに日も傾いて風息が寝入る場所は日陰になってしまっている。
彼が暑さ寒さに強い妖精であるのは承知の上で、それでも無限には寒そうに見えてしまう。
寝心地が悪そうだと思うのは完全に無限の主観によるものでしかないのだけれど、共に暮らすことを選んだ愛しいひとをそのままにするつもりにはどうしてもなれなかった。
彼の名を呼んでみて反応がないのを確認してから、無限は風息の背中と膝の裏に腕を通して彼の体を持ち上げる。
力の抜けきった大人の体を安定して抱えるのは少々難儀で、とりあえずだらりと落ちる腕を金属片で掬い上げて風息の腹の上に置いてやってからバランスを取った。
腕の中で揺らされても、風息は全く起きる様子はない。
今日が特別なのではなくて、昼寝をしている風息はいつもこうなのだ。
夜行性である豹を模した姿の妖精だからか、風息は夜の眠りは浅く昼は深い。
彼が言うには生まれてすぐは昼に眠っていたものの、行動範囲が広がったのを契機に虚淮が徹底的に矯正したらしい。
風息の兄貴分であると同時に親代わりでもある虚淮が風息にその理由を説明したことはないが、危なっかしくてしかたがなかったのだろうと風息は述懐した。
時折漏れ聞くだけでも風息の子供時代は随分とやんちゃそうで、虚淮は大層苦労した事だろう。
幸い彼の育児に関わっていない無限は、その頃の彼を思ってほほえましく思いながら腕の中の風息を見下ろした。
生活習慣を変えられたとはいえ、それでも体に備わった性質はそのままらしい。
夜はうとうとと微睡むようにしか眠らないため、無限と共寝する際はふわりと意識が浮上した時には明け方まで無限を眺めているらしい。
元々まとまった眠りが必要でない妖精だからこそできる荒業である。
本来の適切な睡眠時間に眠っている風息をベッドに下してやると、ようやく微かに彼がむずかった。
腰辺りまで布団を掛けてやっていた手を止めて息を潜めるうちに、何かを探すように腕を伸ばしたかと思うと無限のベッドに支えとして置いてた腕をむんずと掴む。
自分が掴んだものが何か分かっていないのか、風息は指の力を入れたり緩めたりして無限の柔らかくもない腕を握った。
最初こそ形を確かめる意図なのかと思っていたが、もしかしたら手持ち無沙汰なだけなのかもしれない。
最後にぎゅっと強く無限の腕を掴んだと思うと、ぱちりと風息が目を開いた。
どうやら自分が握っているものが人体であることに気がついたらしい。
「寝ていて良いよ」
半端に浮かせたままだった布団を肩口まで掛けてやって、無限は固まって無限を見上げている風息の頬に触れる。
それからまだ眠気が残っているだろう目尻を撫でてやると、風息は笑うように目を細めた。
「
……
おかえり」
「うん」
するりと柔らかな頬が無限の手のひらに寄せられて、それからふわふわした挨拶が風息の口元から零れる。
その穏やかさに相応しい相槌を返してやれば、風息が無限の腕を引いた。
それから断られるなんて微塵も考えていなさそうな声音でおいで、と呼ばれてしまえば無限に誘いを断る選択肢など残されていなかった。
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