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溶けかけ。
2025-04-12 15:55:13
27453文字
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花雨
なみセレ開催おめでとうございます!
エピローグまで更新終わりました。
みなさま、ご精読ありがとうございました!
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雪解けの足音(クリスマスローズ)
「もうそのような季節になったのだな」
ヌヴィレットはフラワーショップの前で立ち止まると鉢植えに植えてあるクリスマスローズに視線を合わせた。
「
……
いらっしゃいませ。ご購入ですか?」
店主の女性はヌヴィレットの姿を見て、僅かに目を見開くも、何事もなかったかのように笑みを浮かべた。
「いや
……
すまない。見ていただけなのだ」
「そうですか。では、ご購入することがあればお声がけください」
女性は一礼するとあかぎれで赤く染まった手の甲を撫でさすりながら店内へと入っていった。ヌヴィレットは再び、白い花へと視線を戻すと白い息を吐き出した。
「へえ。クリスマスローズじゃないか。春が来たんだね」
背後から鈴を転がしたような澄み切った声がした。ヒールの踵が石畳を踏みしめる音が数歩して、ヌヴィレットの隣にフリーナが並んだ。フリーナはヌヴィレットと同じように屈み込むときらきらとした瞳でクリスマスローズを眺める。
「この花のお世話にならなくて良かったよ」
フリーナがいたずらっぽくヌヴィレットに微笑みかけた。クリスマスローズはフォンテーヌでは古くから病の悪霊を祓う香りを持つ花として国民の間では民間療法のレベルで愛されている花だ。
「
……
笑えない冗談だ」
ヌヴィレットの言葉にフリーナがけらけらと腹を抱えて笑い出す。その声は明るく、寒さすら吹き飛ばしてしまいそうなほどだ。
「笑い過ぎではないかね?」
フリーナはようやく笑いを引っ込めると目の端に溜まっていた涙を指で掬いとる。
「いや、すまない。ちょっとした冗談のつもりだったんだけど
……
キミには冗談に聞こえなかったのなら、それは冗談にはならないね。ごめんよ、ヌヴィレット」
フリーナがヌヴィレットの銀糸をかき混ぜる。ぐちゃぐちゃになってしまった髪の隙間から垣間見えるのは口元を和らげたヌヴィレットの姿であった。
その様子にフリーナの口が弧を描く。
誰も彼もが鼻頭を赤くして歩くフォンテーヌ廷のなか、一足早い春の香りが二人のもとにはやって来ていた。
クリスマスローズの花言葉 「私の不安を和らげて」
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