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溶けかけ。
2025-04-12 15:55:13
27453文字
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花雨
なみセレ開催おめでとうございます!
エピローグまで更新終わりました。
みなさま、ご精読ありがとうございました!
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香(ライラック)
風に乗って運ばれてきた身に覚えのある香りにヌヴィレットは足を止めた。はて、この香りは何の香りだっただろう?か、と。
見上げれば、上階からはみ出した枝垂れた枝先に小さな花が寄り集まるように咲く花が青い空を悠々と泳いでいた。
「あれはリラ(ライラック)だよ」
白手袋を嵌めた指先が花を指さして言葉を紡ぐ。隣を見れば、見慣れた少女が佇んでいた。
「あ、ごめんよ、急に。もしかして余計なお世話だったかい
……
?」
返答のないヌヴィレットをどう思ったのか、フリーナが困ったように眉根を寄せた。ぴんと空に伸びていた指先がへにゃりと力なく折れる。
「
……
いや、すまない。少しぼうっとしていたようだ」
ヌヴィレットの謝罪にフリーナの青い瞳が半開きになった。
「まさか、また徹夜で仕事とか
……
してないだろうね?」
フリーナの視線がヌヴィレットに絡みつく。さっと視線を反らせたヌヴィレットにフリーナはため息をついた。
「まったく
……
キミは僕がいなきゃ休むことさえままならないのかい?」
こっちにきて! とフリーナがヌヴィレットの腕を力任せに引いていく。強引なエスコートが続き、暫くの後、フリーナが足を止めた。
「ほら、寝て」
解放されたと思えば、今度は寝ろと来た。ヌヴィレットは仕方なく、指定されたフリーナの膝の上に頭を下ろす。先ほどまで見上げていたリラの花が木陰となり、涼やかな風が頰を撫でた。甘く優しい香りが鼻腔を満たす。
「リラの花言葉を知っているかい?」
とろとろと舟を漕ぐヌヴィレットに静かにフリーナが問いかけた。「なんだ」と返すより早く、眠気がヌヴィレットの口を重くする。
「リラの花言葉はね────」
フリーナの髪を春風が攫う。ふわりと舞い上がったリラの香りにヌヴィレットは目を見開いた。
ああ、どうりで身に覚えがあるはずだ。
「すごい風だったね」と言いながら、手櫛で髪を整える彼女からも同じ花の香りがした。
リラ(ライラック)の花言葉 「初恋の香り」
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