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溶けかけ。
2025-04-12 15:55:13
27453文字
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花雨
なみセレ開催おめでとうございます!
エピローグまで更新終わりました。
みなさま、ご精読ありがとうございました!
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帰路はまだ遠く
一陣の風が吹いた。
草木が囁きあう声がして、眼前が薄桃色に染まる。誰が呼んだか、桜吹雪。
なるほど、確かに吹雪のようだ。
ヌヴィレットは一人頷いて淡い春色に染まる空を見上げた。いつぞや彼女と二人で見たアーモンドの花やチェリーの花に似てはいるが似て非なるものらしい。結実はすれども食用に適さず、観賞が主な利用価値なのだとか。
海を越えた異国の地で一人、異なる様相のヌヴィレットはここでも余所者の扱いのようだ。一枚の布を巻いたような服装(着物というらしい)を身に纏った者たちはすれ違うたびに胡乱げな視線を投げかけてくる。
ああ、早く帰って彼女に会いたい。
そう思ったことにヌヴィレットは困惑する。
どこへ? 問いかけて浮かぶのは青き水に満たされた祖国。
誰に? 頭を過ぎるのは生まれたばかりの星の色の髪に、海色の瞳を持つ少女の姿をした淑女。
そこまで考えて、ヌヴィレットは苦笑する。
どうやら、この数百年間で骨の髄まであの国と彼女が染み込んでしまったらしい。だが、不思議と嫌悪は感じない。寧ろ、心地よさすら感じてしまう。
桜の花弁が風に舞う。桜色の吹雪の中で君が笑いかける幻を見た。
早く、帰らなくては。
桜(ヤマザクラ)の花言葉 「あなたに微笑む」
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