戌丸アット
2022-05-29 23:07:22
37730文字
Public 戦国basara
 

狐七化け、狸八化け

三家(戦国basara)



すると、そこには全身を血で赤く染めた銀髪の青年が倒れていた
そのあまりに見事な銀髪と顔立ちに家康は一瞬、三成を思ったがすぐに冷静になると青年の傍へと駆け寄る
青年に意識はなかったが、か細くもしっかりと呼吸をしている事を確認すると家康は青年を担ぎ上げた

「なんでこんな所にだが、まずは手当てだな」

家康は何処か動揺している己を冷静にするかのように呟きながら早足に屋敷へと青年を運ぶ
とりあえず縁側へ、青年の体を落ち着かせようと寝かせた所で目の前の障子が開く

「ohアンタ、こんな所に居たのか」
「あぁ、独眼竜!起きたのか、気分は大丈夫か?」
「まだ飲んだうちに入らねぇよそれよりこのガキは、なんだ?」
「先程、庭で倒れていたんだ、運んで分かったが傷自体は多いが浅く、どれも急所は外れているようだ」
「stop!俺が聞きたいのは傷じゃねぇ、アンタこのガキを保護するつもりか?」

柱に寄り掛かる政宗は、青年の顔を手ぬぐいで拭く家康に怪訝な顔を向けながら訪ねてきた
拭いていた家康は困った様に政宗に微笑みかける

「この近辺で戦は起こっていない筈なのに血塗れなのはおかしい、話を聞きたいんだ」
「話を聞く為に手当てもすると?」
「あぁ、起きてもらわねば話は聞けない」
……………ha!!!好きにしな」
「ふっ、そうするよ」

家康の言葉に美しい顔を怪訝な表情で歪ませたまま政宗は、しばし家康と青年を見定める様に鋭く見つめた後、深くため息を吐いて中へと踵を返す
政宗の背中に微笑みを向けた後、掃除をしていた者の1人にお湯や包帯などを持ってくるように伝えると家康は自身が使わせてもらっている部屋へと青年を移動させる

青年は気を失っているにも関わらず、家康がどれだけ引っ張ったり剥がそうとしても断固として刀を離す事がなかった
そこで仕方なく着物を切って手当てをし、刀を持つ左側のみ出した状態で寝かせる事になってしまった
その事に苦笑いを浮かべながら家康は飲みの席に戻る事はなく、青年を眺めていた

熱はまだ出ていないのか、すやすやと穏やかに寝息をたてているのを見て、家康は自然と肩の力を抜く
政宗に言った話を聞きたいと言うのは保護する偽りではなかったが、単純に心配になる程に着物は赤く染まっていた為に知らず、体が強張っていたらしい
その事実に青年の長めの前髪を払って熱を確認しながら自身に呆れの微笑みを浮かべる
すると丁度、青年が目を薄っすら開けたので家康は顔を覗きこもうとした
が、出来なかった

瞬く間に青年は身を起こし、家康の首筋に刃を添えてきた為である
武装していなかったとはいえ、失態だなと何処か他人事のように苦笑する
だが家康が苦笑する理由がもう一つあった
それは青年があまりにも見知った、もとい青年に重ねていた男に似た眼差しを己に向けてきたからである