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戌丸アット
2022-05-29 23:07:22
37730文字
Public
戦国basara
狐七化け、狸八化け
三家(戦国basara)
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日が落ちて夜が来て、一晩眠っても雨が止む事はなく
朝から空は雨雲に覆われている
その怠惰な雰囲気は屋敷にも充満しており
理由の一つは、前日は遠くから来ている者も久しぶりに会う親しき者たちと再開した事で、大いに飲んで騒いだ事だ
その有様はとても酷く、殆どの者が酔い潰れ、雑魚寝しているのであった
しかしそんな雨雲に乗じて屋敷から抜け出した者が居る
それは家康、その人であった
が厳密には、家康ではない
林に足を進めながら家康は屋敷を抜け出した者の名を思い出しながら、声をかけた
「雨はまだ降っている、なのに傘も差さずに何処へ行くんだ?えっと
………
三朗殿」
「
……………
東照殿こそ何故、こんな林に?」
「なんとなく目が覚めてな、ついでに九尾への薬を準備しようと歩き回っていたら姿を見かけたんだ」
「
………
そうでしたか」
質問を質問で返されても家康は態度を変えることなく、三朗に近付くと家康は差していた傘へとソッと入れる仕草を取った
が、それを察した三朗は穏やかに言葉を交わしながらも手の平を家康へ向け、はっきりと断りを入れる
その仕草に家康は機嫌を害する事はなかったが、目を見開き驚いた
家康の驚きは当然だ
朝から降っている雨はザァザァと音を立てる程であり、断った三朗の姿は全身に濡れていない所は無い程であった
「どうしたんだ?とりあえず屋敷に戻ろう、このままでは風邪をひいてしまうし何より傷に響く」
「お心遣い痛み入るがワシは戻らないよ、東照殿」
「
……………
九尾が居るから、か?」
「
……………
」
「それとも
…
隠している事の為にか?」
今度は無理矢理に傘の中へと三朗を入れると懐から手拭いを出し、三朗の顔を拭い てやりながら説き伏せる
ポタリ、ポタリと短く揃えてある髪から雫が落ちてきていたので家康は丁寧に拭いてやっていた
その間、三朗はウンともスンとも答えなかったが隠している事があると指摘され、ユラリと瞳の奥が揺れたのを家康は見逃さなかった
何故なら、その反応は家康の予想は当たっていると言える反応であった
そして何より三朗の瞳には悲しみを写していたのだ
しかし三朗は泣く事もせずに、ただ静かに謝った
「
……………
これ以上は御勘弁願いたい」
「
…
すまない、少し意地が悪かっただろうか?」
「いいや、ワシが愚鈍なだけですよ」
「三朗殿
…
」
「
……………
東照殿、九尾を頼みます」
九尾の何に対して、などと問うのは愚問のような空気の中、再び雨に濡れる事も気にせず頭を下げる三朗に家康は頷くしかなった
三朗が何に対して悲しみを感じたかなど分かりようもない
だが家康の目には確実に三朗が悲しみを押し殺しているのを感じた
そして三朗が九尾に何かを隠している事は明白であったし、何より己を愚鈍だと評する三朗を他人事とは思えなかった
だからなのか、家康はまるで励ますような言葉を三朗にかけていた
「三朗殿、何かを成し遂げたいのであれば、生きてくれ!生きて
………
九尾と決着を付けるんだ」
「っ!
………
ご忠告痛み入ります、今は九尾に殺されてやる訳にはいかないが
…
ワシもアイツと"真っ直ぐに"戦ってみたい
…
」
生きてくれと言う家康の言葉に返事をする三朗の目には、さっき家康が見た動揺は無く、かわりに決意なるものを感じさせる目となっていた
その目を家康が確認した時には三朗がお辞儀をした後で、静かに家康に背を向けて林を抜ける為に歩を進めていた
なんとなくその場を立ち去る気分になれなかった家康は三朗の姿が見えなくなるまで、三朗を見送った
が、もう少しで家康の視界から三朗が消えようとしていた時に黒い影が視界を掠めた
「ん?影?」
「っ!?何故、此処に!!!」
「三朗殿!?」
それは幻覚なのではなく、三朗が慌てて家康の方に身を引いているのが見えたので家康も慌てて手を伸ばそうとした
しかし家康の見た黒い影は煙のようにモウモウと三朗を包んだかと思うと檻の形をなして三朗を閉じ込めた
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