戌丸アット
2022-05-29 23:07:22
37730文字
Public 戦国basara
 

狐七化け、狸八化け

三家(戦国basara)





「きっと東照と自分を重ねたのだろうねぇ……子狸は」
「ワシの、事を?」
「あぁ、そうだ!子狸は酷く悲しい立場でねぇ……語るも涙さ」

語るも涙と言いながら胸倉を掴まれたまま微笑む男を投げ捨てながら、三成は睨みつけながら言い放つ。

「そんな物は私には関係ない! 私は家康の罪を暴きに来たに過ぎない!」
「おっと!……実に愚直だな、凶王は」
「なんだと……?」
「ふっ、関係ない訳がないだろう?もう子狸が縁を作ったのだから」

まるで三成を小馬鹿にしたように鼻で笑うと男は、いつの間にあったのか、ひゅうひゅうと鳴くように沸き出した釜からお湯を移すと急須で3人分のお茶を注ぐ。
そして三成と家康の前に、2人の体勢など気にする風もなく茶を置くと1人お茶を啜って話し続ける。

「子狸は己の武器と私の報酬を私に返却する事により、君らの縁を繋げたのだ」
「己の武器だと? っな! まさか奴が武器を持っていなかったのは貴様が奪ったからか!」
「奪うとは人聞きが悪い、これは正当な報酬だよ? さぁ、お茶が冷めぬうちに飲むと良い、そのうち扉は開くだろう」

ようやく男の話している事と現状とが結びつき始めた三成は眉間の皺の谷を深くしながら、男を睨みつける。
しかし相変わらず男はどこ吹く風と言った態度でお茶を啜りる。
その異様さに弱々しい声色になりながらも気丈に家康は男を見つけながら、絞り出したような声で問いかけた。

「どうして、そう思うんだ? ……何をしても開かないのに」
「この扉は子狸が外からのみ開くように細工をして行った、勝った方がこの扉を開くだろう」
「なっ!? 勝った方って! 今、2人は戦っているのか!? 三朗殿は武器がないんだぞ!!!」
「それが何か不都合があるかい? 結果としてどちらが死のうが私には関係ないよ」
「なんだって!?」

さも明日の天気を話すような何の変哲もない事だとでも言うように話す男の、あまりの態度に、今度は家康が胸倉を掴んでいた。