戌丸アット
2022-05-29 23:07:22
37730文字
Public 戦国basara
 

狐七化け、狸八化け

三家(戦国basara)



その瞬間を慶次も左近も見定める事は出来なかった
気付けば、三成の刀が九尾の首筋を狙っていたのだ
しかし斬られない事を知っていたかのように九尾に動じる様子はなく、ただ刀を向けてくる生き生きと怒りを表しにした三成の瞳をみていた

「家康の首を跳ねるのも家康の心を暴くのも全て私だっ!私のみが許された権利なのだ!それを誰かに奪わせはしない!!!」
「ふっ、そうかそうだな私も」

三成の絞り出すに放たれた言葉に九尾は何処か遠くを見ながら、1つ頷くと突然、右手を天へと掲げる
そして何か喋ったかと思うと慶次や左近が聞き取る前に突然の豪風や木の葉が襲って来たかと思うと、三成と共にその姿を消してしまった



ー私はセン様の刃となる為に生きている、貴様も八咫鴉の手足なのだろう?ー
ーまさか!ワシが手足など恐れ多いよー

ワシはお前が羨ましかった

ー何故、前に出た!助けた気になり犬死にする気か!ー
ーそれはお前にも言えるだろう!セン殿はお前に死んで欲しい訳ではないのだぞ!ー

ごめん、本当はお前が死ぬのが怖かった

ー消し去ってやる!この地を穢すモノは何人なりとも許しはしない!ー
ーそんな血塗れでは皆、お前を恐れてしまうお前はそのような恐ろしい男ではないだろう?ー
ー黙れ、知ったふうな口を聞くな!貴様の偽善には嫌気が差す!ー

お前の志は、まさに善教のようだな

ー何故だ!何故、そのような死者のような目をする!貴様も私と同じように生きている筈だろう!ー

お前とワシは同じなんかじゃないからだろう
ワシは臆病者で他者が怖くて、いつも怯えているような弱虫で
最初はお前も怖かったんだぞ?
でもお前を知れば知るほど羨ましくなったよ
己を貫き、己の全てを懸けて忠を尽くすお前の姿が羨ましかったよ
でも弱虫なワシに出来る事など嘘をつく事くらいしかないんだ
ならばワシは己の全てを懸けてでも嘘をつき通す

きっとお前には一生、理解できないだろうな、九尾ー……