戌丸アット
2022-05-29 23:07:22
37730文字
Public 戦国basara
 

狐七化け、狸八化け

三家(戦国basara)



説明の途中で九尾の後ろを見て驚いた慶次の言葉に驚きつつ、左近は不思議に思って慶次の見ていてる方を見て慌てた
そこには恐惶のような凶悪な面構えで、三成が立っていたのだ
もちろん九尾を除く二人は顔を蒼白にするが、当然聞いていた三成は構わず怖い顔のままで慶次に掴みかからんとばかりにズカズカと近寄ってくる
そして九尾を無視し、慶次の胸倉を掴んで引き寄せると顔面ギリギリで睨みながら、問いただし始めた

「前田慶次
「は、はい!」
「貴様、今のは本当か!!!」
「あえっと
「本当かと聞いている!!!」
「お、落ち着きましょ、三成様ぁ
「黙れ左近!邪魔をするな!」

あまりの迫力に慶次は思わず敬語で答えながらも言葉を濁らせた
そんなはっきりしない態度の慶次に苛立ちを増し、声を荒らげる三成に慌てて左近は止めに入るが止まらない
しかしそんな小競り合いの隙を突いて、九尾はスタスタと慶次の隣を横切っていこうとする
隣を横切られそうになった慶次は慌てて九尾の腕を掴むと助けを求めた

「でも!あ!ちょっとアンタも勝手に動くなよ!てか止めてくれ!頼むよぉ!」
「何故、私が」
「おい!どうなんだ!」

しかし人の事など気にしない三成は止まらない
流石の慶次も耳元で散々叫ばれては、かなわずヤケを起こし、はっきりと言ってしまうと三成の手を払いのける

「あーもー!そうだって言ってんでしょうが!ちょっとは落ち着いてよ、石田さん!」
「チッ!何処に居るか分かっているのか!」
……はぁそれを知ってどうする?凶王」

払いのけられた三成は、舌打ちをするがまるで助ける気でもあるように居場所を尋ねた
これには慶次も左近も目を見開いて固まると、その姿を確認した九尾が代わりにとばかりに尋ねた
すると三成は不審者である筈の九尾の事など怒りで忘れているのか、気にしていないのか、あっさりと答える

「当然、連れ戻す!!!私に殺されぬという今、奴に容易に野垂れ死ぬ事は許されない!!!」
殺したかったのか?」
「当然だ!!!奴は私のたった1つの光を奪ったのだ!!!」

まっすぐに澄み切った瞳で九尾は、まっすぐな目をする三成に慎重にだが、はっきりとした言葉で殺したかったのか?と尋ねた
怒りが最高潮まで来ていながら答える三成に、慶次は我に返ると慌てて二人の間に入る
そして三成を落ち着かせて、とりあえず二人を部屋へ促そうとした所で再び、九尾は慶次を気にする事無く、続ける

「とりあえず今は落ち着いてよ石田さん!皆で話し合わないといけな」
「東照がお前の光を奪ったと言う根拠はなんだ」
「ちょっと!!!」
「関ヶ原の地で奴自身が言い放った!秀吉様は自分が殺したとっ!」
え?家康がそんな、事を?」

全く慶次を気にせず、鳴りを潜めていた三成の憎しみを炙り出すような九尾の言葉に心底、ヒヤヒヤしながら慶次は止めようとした
慶次は元東軍である政宗にこそ、知らせたかったのだ
しかし続けた三成の言葉に慶次も動揺を隠しきれない
そんな慶次をチラリと見た後、九尾は三成に向き直り、続ける

貴様は東照を殺すと、憎いと言いながら東照の言葉を信じるのだな」
何?」
「覇王、豊臣秀吉だったか?死んだ話は私も耳にしているが私は東照が殺したとは思わない、どうせ東照の嘘だろう」
「っ何故そう言い切れる!!!秀吉様の死に際に家康は存在し、自ら認めたのだぞ!!!」
「っ!」

九尾のはっきりとした態度に動揺を見せながら三成は己の知っている"事実"を泣きそうな声で叫ぶ
そんな叫びを聞いて過剰に固まる慶次を九尾は睨むように見つめた後、心底不愉快そうな顔で絞り出すように呟いた