影喰い
2024-10-09 22:39:55
20307文字
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零れ話

TLの練習まとめ。
時間軸バラバラ。カプじゃないものもあります。


【羽休むごとく】
・本編軸伊→剣。


「ところで。その剣は一般の水も操れる能力を見えるが」
「そうだが」
今までのセイバーは魔力で作る波を乗ったことはあっても、自然の水はよく考えばやったことがない。御殿山の件でも、二人で渡せるように木の板を敷いた。
「おまえ一人なら水の上で立つことができるのか」
「やったことはないが、試す価値がある」

話を聞いた途端、セイバーから困惑の色というより、新しいものを見つけた歓喜に近い。
とんでもないことを言い出したの実感はまったくないが……まあいい。以前も水の道に滑りたいの発言が聞いたことがあったとしても、もしやあの時深く考えなかったのか?
思考を巡れながら、民が行き交う所でそれをすぐ実践したいセイバーを止めるのを一応間に合った。

幸い、昼間に誰も通り過ぎことがない川を見つけた。清らかな水は日の光に照らして、煌めく輝いている。
「この辺ならよし」
「人目につかぬ場所を探すの方が面倒だ」
小言を言いつつ、白妙の剣士が水の力を纏った剣を取り出した。一見はひと振りだけのことで、微かな魔力の気配が彼の足元に留めていた。
細い足が一歩、また一歩に流れる川の向こう側に進む。何一つ水しぶきが上がることがない。
いつも元気に走り回る様子と違って、魔力を集中しているようで慎重に歩く佇まいが、水辺に羽を休める白鳥と彷彿させる。

振り向く彼はどこかで得意気があってから、大きく蛇行剣を振った。
「どうだ?私とてこのくらいならアサメシマエだぞ」
……そうだな」
彼の問いにそぐわぬ、五文字の感想を危なく喉元に食い止めて、また胃の腑に飲み込んだ。
「セイバー、魔力の消耗は」
「多くないが、少ないとも云えない」
「解った。必要とあれば手段の一つとして考えよう」
霊体化できるのサーヴァントには実は使える場合がほぼないかと、己の理性から呆れたようにこう呟いた。

「イオリ」
「なんだ」
「団子二つだ」
……承知した」
代価としてこれはまだ安いと、川辺まで彼を迎える伊織が静かに、彼の姿をこの目に焼け付く。