影喰い
2024-10-09 22:39:55
20307文字
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零れ話

TLの練習まとめ。
時間軸バラバラ。カプじゃないものもあります。


【ここで上手く息をするように】
・カルデア軸伊剣。
・筋力Aのパイ投げ。

「くらえイオリ——!」
——ッ!」

顔面に直撃しがちのそれを、伊織が最低限の動きで危なく避け、タケルを無言に見つめる。当のタケルもかなり拗ねてる表情を現れた。

「なんで避けるんだ」
「俺を殺す気か。力加減くらいしてくれ」
「ぶー」
事実は壁にへばりついたそれは今でも落ちることがなく、しっかり白い壁面を一体化にした。マリーンたちが届かない高さで、立香は掃除用の道具でなんとか壁からそれを剃れていく。
現代の言い方では、「それ」はお祝い用のクリームパイだった。

「今回のはタケルが悪い」
「なんと」
キッチンを連絡して、ケーキを用意するようにと伝えたら立香がもうキレイになった壁を指した。
「気持ちは分かるけど、重い過ぎるとダメだよ」
「そ、うか」
「とにかく人を迷惑掛かれない範囲でやればいい、のことだ。別に責めるために来るわけではない」

それに、アーチャーたちの飛び道具、いや、武器になると困る——と、立香はそれを言わなかった。このカルデアではいつでもトラブルのタネがあるんだ。

タケルが他所から借りたクリームスプレーと紙皿をもう一度取り出し、いっぱいまで盛り付ける。
「次はうまくいく」
「うん、頑張ったね」
その一連の過程は、伊織がただ彼らを観察しているだけ。江戸時代では誕生日を祝う風習がないから、死んだなおそれは果たしてするべきなのか?と疑う程度のこと。セイバーがやりたいからそれを許しただけだ。
「セイバー」
「うん?クリームの盛りが足りないのか」
「そうではなく」
その興を削ぎたくはないとはいえ、どうして、の一言だけはさぞ難しくなってきた。
「その、ぱいを投げるとは祝う意味があるのか、と問いたいだけ」
「あるとも」
やけに自信があるタケルは力強く頷いだ。その手にあるパイは壁に突撃したものより、クリームのボリュームをかなり増やした。
「きみに、」
その瞬間、不自然な沈黙によって話が途切れる。何かあったのを知らない伊織は幾度瞬きをした後、残りの言葉が彼の口から零す。
「これからの時間に、楽しくいきたいの願いと幸運を込んだ」
「もう十分楽しんでいたぞ」
「きみ、相変わらず欲はないな」
「だがおまえの好意も無下したくない。準備が終わったらやれ」
今回は避けんなよ?のからかいに対して、伊織はいざとなったら地の型で凌げると返した。当然不満の声でも受け取った。

「いくぞ」
伊織は静かに目を閉じた。すると、暗闇の中で何かが自分の顔全体を覆った感覚がする。
荒唐無稽な行事としても、彼の言葉で意味を宿る。厚いクリームの下で、誰も気付かない笑顔を浮かんだ。

「はいタオル——
「忝い、マリーン殿」
「聞いて聞いて!今日のケーキはベーカリーが作ったもの!」
「プリンもいるかな——
「おお、大勢なパーティになりそうだ!喜べイオリ!」
視界はまだはっきりしていないうちに、伊織はもうマリーンたちとタケルに引いて食堂へ向かう。パイ投げの道具を片付けた立香も彼らの後ろに付いていく。

——たまにはこういう日も悪くないだろう?
かのマスターの声を聞いて、伊織は何処かで満足気に「ああ」の一声だけ。