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影喰い
2024-10-09 22:39:55
20307文字
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零れ話
TLの練習まとめ。
時間軸バラバラ。カプじゃないものもあります。
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【木戸と売り子】
・本編軸伊→剣。
・稀に出るもやもやネタ。(自覚多分ある)
「キルケー!すまないがあちらの手当てを頼む!」
「魔女は医者じゃないけど、まあいいわ」
一時的に戦闘を離脱して、喚ばれたキルケーは後ろに連れて、傷者の世話をしている。浅草の境目まで怪異が出るのは、儀を巻き込まれてから思いつかぬ事態。
無辜の被害者も実際に目の前に出る。
「イオリ」
「解ってる。まずは目先の敵だ」
二刀と剣を儀の副産物を次々と斬り捨てると、この騒ぎによって同心たちもこちらへ来た。
「助之進。木戸番の状況はどうだ」
「おう、命に別状無いがしばらく休めた方がいいと、そこの別嬪さんはそう云った」
「ただの別嬪と思えば、豚になる時は知らないぞ」
今のは冗句の類いか、と助之進が首を捻る。一度豚になった経験がある伊織でもここで真実を語りたいが、信じられないの可能性が多い。あえて口を噤んで、そうなれないと祈るしかない。
「して、ここの務めはどうする」
「怪異までここをお通りすりゃ年寄りだけじゃだめなんだな。替わりのやつが来るまで頼むぞ、伊織さん」
木戸の方向へ指すと、助之進はそのまま木戸番を他の場所に連れ去った。寂しくなる関門にやがて、伊織とセイバー二人だけ残る。
「
……
は?」
「つまらん。どれくらいここに立ってるつもりか」
「助之進の話から、適任の番人を探し出すならあと数刻だろう。もう少し待ってくれ」
「番人
……
ああ、キドバンは名前ではないか」
「役職
……
務めの名前だ。怪しい奴を見つける次第対処できる人を知らせこと」
「最初から実力者を配置すればよいのだろう」
「そこが一人の意見で決まられないこと、だ」
むくれるセイバーに言葉を濁り、ただ浅草の外へ眺める伊織がふとあることを思い出した。
「確か、小屋は近くにいたはず
……
セイバー」
「どうした」
「番人は商売もする。気を紛れたいならそこに見るといい」
そう言いつつ、伊織は懐に少し銭をセイバーに渡した。
「食べ物も売っているが、当番の者がいなくてもせめて銭を残してくれ。そちらの懐が温かくもない」
「行ってくる」
これでセイバーの機嫌も良くなれると間違いない。輝きを宿った瞳こそ彼に相応しい。青空の下で、先程の怪異を気付かない民たちはいつものように生きる。
替わりの者まだ来る様子はない。ついてに、セイバーもなかなか戻る気がないのようだ。何処かで遊びにくるでは、と思った頃に、面識がある同心の一人が伊織に話し掛けてきた。
「どうしてこうなった」
「私にも聞きたいんだ」
食べ物も生活用品も一通り揃ってる小屋はセイバーとしてあまり見たことがない景色だった。と、その景色に惹かれる頃には買い物にきた民に新しい売り子と間違えて、そのまま商売をすること。
相手はもう商品の値段を知ってた場合はまだなんとかごまかすが、複雑な計算なら数字を馴染まないセイバーに流石難し過ぎる。
そして手がまったく回らない時にやっと伊織がこちらに来た。
「
……
状況は大体解った。まずはここの商売を済ませること」
「イオリはできるか」
「少し手伝う経験がある」
幸い、ここの木戸番も自分に忘れないように値段の書き留めを壁に張り付けた。
何もしないままではいられないセイバーに、客に商品を手渡すの役目を任された。数刻後、番小屋外の騒ぎもようやく収まった。
「で、そのウリコも役職の名前なのか」
この間に木戸の方も代わりの者が来た。後処理として、伊織は売り上げをもう一枚の紙にまとめて、せめての知らせでもここで残した方がいい。
「そう
……
かもな」
「随分曖昧な返事だな」
筆を下ろした伊織はなんとも言い難い表情でセイバーに向かえてしまう。
騒ぎの元も解りやすい。ただの誤認から、男の衆がそのお顔を拝んで来ただけ。なお本人は一切自覚はなかった。そこが一番厄介なこと。
「なんだ、銭は自分のものではないことがそんなに悲しいのか」
「それならまだマシだ」
「?」
なんでもないの一言でこの話を一旦止めた。自分にも、そう軽々と言えない。奉行所からの報酬を貰ってるとはいえ、助之進もこの件について相当頑張っただろうか。
日の角度を計らう伊織が顔を上げ、
「銭も稼いだ。少し遠くまで行こう」
「いきなりどうした」
「
……
どうかな」
きみらしくないな、セイバーからそう云った。確かにいつもと違う心構えだった。
それを打ち明けの日果たしてあるのか、正直自分でも知りたい。今はそれでいい。
「それより、何かを食べたい」
「やはり変だぞ、イオリは」
そう呟いながら、屋台の定番料理の名を次から次へとと彼の口から言い出した。それを聞き伊織も笑ってしまった。
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