影喰い
2024-10-09 22:39:55
20307文字
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零れ話

TLの練習まとめ。
時間軸バラバラ。カプじゃないものもあります。


【いっぱい食べるきみが】
・カルデア軸伊剣。
・冬まつりの合間で。飯テロチャレンジをしています。

 最初はきれいに焼いた肉を試しにごはんの上で乗せて、一口目は肉の旨味を味わう。焼きたての熱気と肉汁をその瞳に輝きを灯した。
 二口目、ソースが染みついた米を頬張る。これが合わないはずがない。
 ここまでくるとより欲張りで、つやつやな米にソースたっぷりの肉を乗せながら豪快に口の中に投げ込む。
 「美味い!たまにはこうして焼肉を食べるのも悪くないな」
 食事を楽しめる様子を見たら自然に口角を緩めていく。
 「たまには、な」

 しっかり噛んでいたことをこの目で確かめていたが、どうにも肉を消えるスピードが早い。……現世にて「食べ放題」という食事の形があって本当に良かった。
 「すまない、これらを追加してくれ」
 「か、かしこまりました」
 店員の笑顔がどこかで引き攣ると見える。それも無理もない。もし焼くための時間が制限に入れないなら、今の店員たちは恐らく皿の山を片付けるだけて一苦労をするだろうか。新しい皿が来る前に、伊織は絶え間なく網の上に肉片や他の食材を追加する。

 先程まで止まれもなく世話をしている食材がほぼタケルの胃袋を満たされるの役目を負った。一方的な餌付けのような流れで、流石に健啖家の彼も網の向こうで空っぽな茶碗に気付いた。
 「きみ、一杯目終わった後箸が全然動かないぞ」
 「俺はいい。もうここの料理を存分味わえた」
 「そうじゃない」
 疑問を抱きつつ、伊織が網目の上にある食材をひっくり返す。また一皿を空けた頃に追加のメニューが届いた。どこかで不満気がするタケルがやがて伊織を止めて、
 「もういい。後は私一人でやる」
 「火が強いから気をつけろ。真ん中は特に焦げやすい」
 「解った解った」

 焼きものからの香ばしいにおいは、相変わらずひとの食欲をそそる。先程からずっと伊織の動きを観察したから、一向飲み込みが早い彼にはそう難しくないこと。箸に取り上げた肉が何の焦げもなく、ほのかな湯気に包まれる。
 「どうだ、私もやれるだろう」
 ……もしかして、すべてを任されることが気に入らないのか?自分の推測を確かめるために、伊織がまた箸を取って、もうひとつ焼き具合が良い肉を茶碗に移る。
 「そうだな。だが時間の配分も少し考えてくれるといい」
 「あ」
 隣のテーブルから肉と違う匂いがした。替えてから肉の脂が残ってない網の上で、白い餅がどんどん膨れていく。
 「締めの餅も食べたいだろう?」
 「あとオミオツケも!」
 「もたもたするとおーだーできないぞ」
 「なら疾く手伝え」
 「承知した」

 充分加熱した肉片が順調に二人の茶碗に運ばれ、現世の味をよく吟味する。結局二人で焼くのが一番速かったから、念願の焼き餅も注文した。
 「セイバー」
 そう呼びつつ、彼の口元に残る米粒を取ってくれた伊織が何気なく話を続いた。
 「俺の締めはこれがいい。あとは任せた」
 「~~~~~っ!」
 サーヴァントにとって食事は必ずしも必要ではない、概ねは気分の問題。だが宮本伊織の場合では別の需要がある。見事に餅のように膨れ上がる頬がまた、伊織にとって大変満たされる気分であった。