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さもゆ
2024-11-15 22:45:21
59923文字
Public
BF
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【BF腐】これは私の宝箱だ
8月に開催されたついったーの素敵企画「青いバナナの皮をむく」に参加させて頂いたやつと、リクエスト募集した時に書いたものをぎゅっとして箱に詰め込みました。本当にありがとうございます!
2019.10.3 たまごのお粥pixiv投稿作品
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お題
…
スチームパンクA英か、まかり間違って不老不死になったAに一緒に年取っておじいちゃんになって死にたいから「僕の一生をかけてきみが死ねる方法を探す」と宣言する英
※そこはかとなくスチパン
※いや申し訳ない
いつも言ってるけど久しぶりに会う友人にはハグからだって何度、
まかり間違って不老不死になってしまった男の、かわいそうな話をしてやろうか。
いつ頃の話かって? そうだな、あんた田舎はどこ? ああ、日本。やっぱりそうか。そうだと思ったんだ、全身ずぶ濡れなのは海底から泳いできたからだろ? 悪い、ジョークが過ぎた。
まあそう興奮するなよ、俺の話を聞けって。せめてその服が乾くまでの、ちょっとした暇潰しにさ。ほら、ここのカフェ、奥にでけえストーブがあるだろ、すぐ乾くよ。あれが中々ポンコツでほぼ壊れかけてるんだけど、中のネジがオールド技術の結集だっつって店主が変わってもずっと
……
こんな話はどうでもいいな。今は、どうでもいい。昔話をするのに最近の話からするのはナンセンスだ。
そこに座れよ、俺の前。それでぜひ話を聞いてくれ。聞いたあとは、好きにすればいい。お前にはその権利がある。
かわいそうな男の話だ。
ただの事実を、簡潔に述べていくと──語り部失格とか言うなよ──これは、あんたの御国、日本がまだ生存戦略的な海底都市にならず、お空に向かって他の国と違わず黒い煙を吐き出し続けてた頃の話だ。歴史は習っただろ? お坊ちゃん。イテッ、おい、ごめんって。だって事実だろ。俺にとったらあんたすげえ子供──痛い! レンチはなしだ。俺はナットもついてない生身の人間だぞ。ふふ、あー、これもブラックジョークだった。
続けよう。
極東の島国日本。イギリスに負けず劣らず蒸気機関が発達していたその頃、ひとりの男の子がアメリカにやって来た。蒸気技術のもとであるイギリスじゃなく、当時治安もすこぶる悪かったアメリカを選んだ理由は、なんとなく、だそうだ。この時点で既にかわいそうな予感がする。
そいつはなんとなく訪れた大国の、なんとなく入ってみた酒場で、見事に犯罪に巻き込まれた。そしてなんやかんやでひとりの友人を得る。むくれるなよ。そこはそれほど重要じゃないんだ。いや、かけがえのない記憶のうちには入るけど
……
そうだな、ストーブとか
……
。
だが最も重要なことがほかにある。
その友人、実は人間じゃないときた。
人間だよ。そうだよ。怒るなよ。個人的意思とはなるべく離して言ってんだから、そうだろ。死なない人間は、人間じゃない。一般的に。
男の子と友人になった男は不老不死だった。
なろうとしてなったわけじゃない。まかり間違って、悲劇的に、運命の悪戯、偶然、なぜか、不老不死だったんだ。そんなもんだ。生まれを選べないのや、どうしようもない環境、なんとなくアメリカを選んだのと同じことだ。
男は死にたがりだった。もちろん、人間として生き、死ぬことに関してだ。貪欲だったよ。そして臆病。自身の永久性ゆえに、何かを失うのを怖がってた。
加えて、賞金首。犯罪者。仕方ない。
簡潔に言おう。
男の子が、友人となった不老不死の犯罪者に、何をしたか。
腸が出てる俺の胸ぐら掴んで恫喝しやがった。
誇大表現? まさか。ああ、恫喝じゃなく、泣き落としだったかな。熱烈だったよ。イテテ。抓るなって。はは、額縁に入れて飾りたいくらいの名シーンだった。
男は賞金稼ぎに追われてた。しかも男の子まで巻き添えにしちまってたから、どうにかそいつだけでも無事にいてほしいと騙して逃がした。男はそれで気が緩んだんだろうな、失わずに済んだことに安心して、つい賞金稼ぎに攻撃を許したんだ。 賞金稼ぎだからって、犯罪者じゃないわけじゃない。違法強化した犬を連れてた。男は腹を食い破られた。
そんで喉首噛みちぎられるかって間際で、賞金稼ぎと犬にバイクが突っ込んで吹っ飛ばしていった。どこで拝借したのやら、ゴツいエンジンから黒い煙がどろどろ排出されて、いかにもブレーキが効かなそうな、実際効かない超危険なオールドバイクだった。
剥き出しの歯車が目立つ巨体はそのまま壁に激突し、その寸前、小さな体が飛び下りた。分かるな? 男の子だ。飛び下りて、亀裂の多いレンガの地面を転がりながら動きを止めた。
男は伸び出た腸を引き戻しながらすぐに駆けつけたね。倒れている男の子に、ばかやろうと怒鳴った。
何無茶なことしてんだ、死ぬつもりか!?
と。だってそうだろ。普通なら、死んだっておかしくない。
俺はお前の死ぬ姿を見たくないから俺から離れろっつったんだ!
僕は!!
男の子は跳ね上がって叫んだ。額からは血がだらだら。バイクが爆発して、まるで火山みたいだった。溶岩流の勢いで俺の胸ぐらを掴んで泣き喚いた。
僕はきみの友人だ、だからきみが歳をとって死ねる方法を一生かけて探してみせる! 僕の死ぬ姿を見たくないってならその間ずっと僕を守れ! 失わない覚悟を決めろよ、そしたら僕はきみと一緒に死んでやらあ!!
男は
……
くっくっ
……
ごめん、ふふ、ふ、ふう。あー、男は怒鳴り返そうとしたよ。無責任なこと言うなって。けど何かを言う前に男の子がぶっ倒れたから何も言えなかったんだ。そいつ、血とか得意じゃなかったから。ただ急にぶっ倒れたから、俺は半ば腹から出てる肝を冷やした。それから、抱き留めて、ちゃんと息してることに、とんでもなく安堵した。しちまったんだよ。もう駄目だった。絆されたんだ。次に男の子に言った言葉はなんだと思う? そう。
俺とともに死んでくれ。
プロポーズ! そうだな。今思うと恥ずかしい。でもその通り。不老不死の男が、ともに死んでくれと願うのは、つまり、そういうことだ。そいつは俺を受け入れてくれた。
……
こうして、不老不死の男と普通の男の子は、一緒に生きていくようになった。男の死ぬ方法を探すために。
かわいそうだろう。
それが、たぶん
……
最初だったと思う。
結局、見つからなかったんだ。
男の子は男のそばで、ひとり年老いて死んじまったよ。いくら男が外部から守ろうとも、年月は
……
、二人ともそれを承知だったさ。ひどい話だ。俺に詰る権利はなくとも、そう思う。
ただ、そいつは、別の代替案を探り当ててた。妥協。善処。
何回目か覚えてるか?
ストーブのことは思い出した? 良かった。な? なんでもない、特別な、日常話。断片的に語るにはなんでもなさすぎるだろ。
男の子は約束してくれたよ。一生を、永遠にしやがった。約束にしては、強すぎるものだ。まあ、不老不死の人間がいるんだから、別段おかしくはない。
服は乾いた? 良かった。それで、どうしようか。乾いたからには暇つぶしの話は終わりだぜ。雨は
……
まだ、降ってるな。
かわいそうな男の話をしてよ。
どっちがかわいそうか、俺にはもう、分かんないんだけど。
まかり間違って不老不死になってしまった男と、その男のために何度も生まれ変わって死ぬ方法を探す、男の子の話。
おさらいしようぜ。何せ久しぶりなんだ、久々に会う友人同士は、懐かしい話からしてくもんだろ? いつもそうしてきた。
さあ、話して。お前の番だぜ。
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