井見
2023-02-28 23:48:16
82721文字
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嶋の美少年 勝手に電子版

嶋の美少年 本文全文です PDFで見るのがきちいので文字に起こしました。
激長そうですが本文約6万字、240ページ程度の分量です。

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伊藤銀月 著『嶋の美少年』,春陽堂,明40.10. 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/886638
(参照 2023-03-02)


 其六 しま夜話よばなし
 
 彼是かれこれするうちに十一ぐわつきて、十二ぐわつ朔日ついたちとなつた、忠之丞ちうのぜうおくつてつたケートルごうは、無事ぶじ父島ちゝじまからかへつてた、聟島むこじままた田邊たなべ春山はるやま二人ふたりあたらしい士産話みやげばなし土産物みやげものとににぎはされた。
 二見港ふたみこう軍艦ぐんかん筑波つくば發火はつくわ演習󠄁えんしうをやつた光景くわうけいは、二人ふたりしたうへ活躍くわつやくして、我等われ〳〵耳目じもくおどろかした。
 それに、なが商船しようせん水夫すゐふをした經歴けいれきのある荒井あらゐひとが、我等われ〳〵新生活しんせいくわつ加入かにふすべく二人ふたりれられてたので、しまは一さうにぎはひになつた。
 愈々いよ〳〵ケートルごうみぎはげられるにんで、數人すうにんくちが一よろこびのさけびにやぶれた、なんだらうと自分じぶんそばつてたら、道理どうりこそ、我等われ〳〵新生活しんせいくわつはじめて以來いらいゆめにもわすれることの出來できなかつた貴重きちうものが、積荷つみにまぢつてるのである。
 此日このひ晩餐ばんさんおいて、我等われ〳〵無上むじやう珍味ちんみくちにした、新生活しんせいくわつ以來いらいはじめての美味びみであつた、それはなにまでく、御膳上等ごぜんじやうとう炊立たきたてのこめめし
 ぶたにはとりきたさかな料理りやうり内地ないちられぬ上味じやうあぢ甘藷さつまいも是等これら如何いかうま如何以下滋養じやうんでも、我等我〳〵日本人につぽんじんつてこめ飯程飯ほど有難ありがたくはない、一こめめしふと、旨味うまが五ざふわたり、四たいちから滿つるをおぼえ、同時どうじ元氣げんきさかんになつて、愉快ゆくわいむねからいてるのである。
 晩餐ばんさんへてのちれい四方山よもやま物語ものがたりうつつたが、此晩程このばんほどはなし景氣附けいきづいたことはない。
しほ小屋こやうしろに、ちいさなながれがあるだらう、ながれのかたはらおほきなイチビのが四五本枝ほんえだれてるだらう、彼所󠄁あすこに、くろいしあをこけえたのあることに、かないひともあるやうだ』
『ウン、僕等ぼくらはまだつてない』
『あれは此島このしまほねうづめたものはかだよ、しかもあのいししたほねいては、すこぶ悲惨ひさん物語ものがたりがある』
なんだかはなし陰氣いんきになつてたぢやないか』
『だつて、しま歴史れきしの一部分ぶゝんだから、我々われ〳〵是非ぜひつてくべき必要ひつえうがある、それに、此島このしま經營けいえいするにいて、多少たせう參考さんこうになるだらうとおもふ、それとも、諸君しよくん陰氣いんきはなしきらはれるならさうか』
謹聽きんてう 々々〳〵〳〵だれかなくつても、ぼくだけは熱心ねつしんく』
『あのいししたるをなんだとおもふ、いまること七年以前ねんいぜんぐわつ某日なにがしのひおのあたまられてんだ船頭せんとう三左衙門さんざゑもんほねなんだ、當時たうじ此島このしま經營者けいえいしや田中たなか鶴吉氏鶴吉しは、製鹽せいえん事業じげふ從事じうじして父島ちゝじまたので、此島このしまには、山田やまだ北原きたはらの二青年せいねんのこしていた、たま〳〵父島ちゝじまから一せき滌船れふせんがやつてすうとう正覺坊しようがくぼう捕獲ほくわくしたが、ふねちいさくつて一みんなつてかれないから、半分はんぶんだけをえらんで一先ひとま父島ちゝじまかへり、あとの半分はんぶんしまのこしていて、三左衞門さんざゑもん其番人そのばんにんにした』
その青年せいねんおな所󠄁とこたのか』
『いや、三左さんざ海岸かいがん假小屋かりごやてゝたのださうだ、山田やまだ北原きたはらにんは、自分等じぶんら所󠄁有物しよゆうぶつのやうにおもつてた、正覺坊しやうがくぼう勝手かつてつてかれ、無念むねんこぶしにぎつて折柄おりから、三左一にん此島このしまのこつてるをて、たりかしこしと、或夜あるよ北原きたはらにん三左を訪問はうもんして、其無法そのむはふ攻撃こうげきした、ては口論こうろんはないて、かつ逆上のぼせた北原きたはらは、手近てぢかつた大斧おほをのるよりはやく、おのれとさま眞甲まつこう打割うちわり、其儘そのまゝして、山田やまだと一しよ山中やまなかかくれた』
ひどことをしたなア、三左はそれつきりになつたのかえ』
『それつきりなら、結句けつくくるしみがくつてよかつたらつが、にもせずきもせず五あひだうなつて所󠄁ところヘ、さき滌船れふせんたやつて來た、此有樣このありさまて、きもつぶして手嘗てあてをしたが、モウ傷口きづぐちはい眞黒まつくろにたかつてるのだから仕樣しやうがない、。一言ひとことくちかずにいきつて仕舞しまつた、そこで、漁船れふせん者共ものどもく〳〵遺骸いがい始末しまつして、しるしいしてたのがあの石碑せきひさ』
北原きたはらはどうなつた』
その北原きたはらいてはまたじやう奇談きだんがある、こんなしまことだから、警察けいさつ裁判さいばんく、この文明ぶんめいなかで、人殺ひとごろしの大罪たいざいおかながら、なんとがめもく、暖昧あいまいうち問題もんだいほうむられたが、おそろしいもんぢやないか、七ねんのちしかも三左七回忌くわいき當日とうじつから北原きたはら發狂はつきようし、其後そののち平癒へいゆしたけれども、再發さいはつしてとうとう三左が十三回忌くわいきくるんでしまつた』
『そんことがありるもんだらうか』
『ありるかありないからないが、事實じじつ何所󠄁どこまで事實じじつだ』
『オイ〳〵たまへ、さう兩君りようくんのやうに、はなし議論ぎろんにしちまつちやア困るぢやないか、今度こんどぼくかはつてかはつたはなしをしやう』
『それがいヽ〳〵』
數年前すうねんぜんことだがね、小笠原島司おがさはらとうし數多あまた屬僚ぞくりやうれて此島このしま巡視じゆんした、そこで、自稱じしやう豪傑ごうけつ在島者共ざいとうしやどもは、一いちばん奴輩やつぱら荒膽あらぎもをひしいでなま此島このしまこと干渉かんしやうさせないやうにと、即夜そくや島司とうしこう招待しやうたいした、島司先生とうしせんせい、どんな御馳走ごちさうるだらうと、得々とく〳〵としてやつてた、やが食卓しよくたくく、なに召上めしあがられるやうなものはありませんが、此島このしまには此島風このしまふう料理りやうりがありますからと、鹽釜しほがまおほきなぶたまるごとれて蒸燒むしやきにしたのを、かまままはこした、さうして、それにへた文句もんく面白おもしろかつたよ、これはありふれた料理りやうりですから、ちつとも御珍めづららしくはないでせう、しかし段々だん〴〵つた手際てぎわ御目おめにかけるもりです、まア御緩ごゆつくりなすつてくださいとやつたのさ、すると、島司とうしこうみんなあをくなつて、たれはしものがない、ふねられたせいか、氣分きぶんわるくつて折角せつかく御好意ごこうゐ頂戴ちやうだいいたねると一人ひとりへば、ものみんなさうだとふ、今晩こんばんはこれで御免ごめんこうむりますとふ、所󠄁ところが、御免ごめんこうむるのは今晩こんばんばかりぢやアない、どうおもつたか、あく早々さう〳〵御免ごめんこうむつて父島ちゝじまげやうとした、これいたつて、我等われ〳〵愈々いよ〳〵からかひづらにならざるをないではないか、いやまだしま御巡視ごじゆんしまないやうですがとむ、此島このしまには色々いろ〳〵名所󠄁めいしよがあります、少々せう〳〵ばかり浮雲あぶながけうへみちもあります、なアに、たいしたこともありませんが、どうかすると、したくづれて人間にんげんつこちる、すると、したふちでは、鱶共ふかどもけてて、てんからつて御馳走ごちさう有難ありがたがるのです、また山牛やまうし山豚やまぶたるのは、御承知ごしやうちとほ此島このしまばかりぢやアありませんが、此島このしまやつ特別とくべつねこのやうな性質せいしつつてます、おとなしくつてゞありません、蒼蠅うるさ人間にんげんじやれくのです、ぶたならはなで、うしならつので、人間にんげんると不意ふゐびかゝつてすくげるのです、我々われ〳〵始終しよつちうれてるから平氣へいきですが、あなたがたはチト御驚おどろきになるかもれません、如何いかゞです、我々われ〳〵はチヤンと御案内ごあんない凖備じゆんびとゝのへて御出おいでつてたのですからとおどかした、島司とうしこうはモウたまらなくなつたとえ、これで澤山たくさんです、充分ぢうぶんです、巡視じゆんししたも同然どうぜんです、いや巡視じゆんしみました、モウ勘忍かんにんしてください、まるでおに棲家すみかたやうだとふるごゑつて、あはてゝふねみ、いかりげるよりはやく、全速力ぜんそくりよくはしらせた、じつにあんな愉快ゆくわいことかつたね』
面白おもしろはなしだが、大分だいぶ法螺ほらがまぢつてるやうだ』
冗談じやうだんつちやアいけない、君等きみらぢやアあるまいし、失敬しつけいな』
『アハヽヽはなし議論ぎろんにしちヤアいけないとつたひとが、はなし喧嘩けんくわにしたら、なほいけないぢやないか』
此方こつちにも面白おもしろはなしがある』
謹聽きんてう々々〳〵〳〵、オイ〳〵喧嘩けんくわして彼方あつちはなしかうぢやないか』
『ぢやアはじめやう、ぼくはなしは、いまおに棲家すみかつたこといておもしたのだ、つて、此島このしま先住者せんぢうしやの一にんが、父島ちゝじまつて知邊しるべいへとまつたことがあるすると、門前もんぜん黒山くろやまのやうに人集ひとだかりがしてしきりとうちのぞ樣子やうすに、其男そのをとこ不審ふしんおもつて、御當家ごとうけなにかありますかとくと、細君さいくんして、貴方あなたやうとするのですとふ、そこで大將たいしやうズンと自惚うぬぼれやアがつて、乃公おれ風釆ふうさいひいでゝためであらうと、正面まともおがましてやるつもりで、ノコ〳〵もんそとつたら、豈測あにはからんや見物けんぶつ蜘蛛くもごとく八ぽうつた、それが一向腑かうふちないので、うちはいつてまた細君さいくんくと、盆々ます〳〵大笑おほわらひになつて、それはかうわけです、父島ちゝじま住人ものは、聟島むこじま媒島なかうどじましておにしまび、むかしから、あのしまにはおにむとつたへてます、おにしまひとたとへば、さへだまるくらゐです、ですから、おにつてどんなものかと、みんな貴方あなたたのでせうとさ』
『アハゝゝ、それこそ 大笑おほわらひだ、すると、我等われ〳〵その所󠄁謂いはゆるおに部類ぶるいなんだね、三左さんざ北原きたはらとのはなしのやうに、人殺ひとごろしをしてもつみにならないのが、おにしまおにしまたる所󠄁以ゆえんだらう』
 ひさぶりこめめし元氣げんきて、夜更よふけるまではなしまない、奇談きだん怪談くわいだんくがごとく、しか皆事實みなじじつである。
 自分じぶんとも聽手きゝてがはて、人々ひと〴〵はなしみみかたむけて山本やまもと少年せうねんは、こゝにいたつて、なにものにでもおそはれたやうにすくめて四邊あたり見回みまはした。
 自分じぶん不審ふしんおもつて
きみ、どうかしたの』といた。
『どうもしない』と山本やまもとこゑかはつてる。
『おかしいぢやアないか』
此島このしまぢやア、人殺ひとごろしをしてもつみにならないのかえ』少年せうねんいきはづませるのである。
いまそんなことがあるもんか、あれはズツト以前いぜんはなしさ』
『だつて、おほきものちいさものいぢめるだらう、しやくさはるからかゝると、ぢきころしさうにするんぢやアないか』
 かれは、津田つだ鐵砲てつぽうけておどかされたときことおもつて、不安ふあんねんおこすのである、此島このしまると、津田つだのやうにおほきくつて、津田つだおとらず乱暴らんぼうらしいをとこ數人すうにんる、其中そのなかに、ちいさいけれども、ぎらひのかれがタツタ一人ひとりまじつてるのであるから、衝突しようとつ危險きけんおそれるのは無理むりがない、一めんおいて、山本やまもときはめて腕白わんぱくきはめて無邪氣むぢやきであるが、の一めんおいては、年齡としわりまはつて、うたがひのこゝろふかいのである、あまりに子供こどもらしすぎる一めんともに、あまりに子供こどもらしからずすぎの一めんゆうするのである、其子供そのこどもらしくえる塲合ばあひおいても、あるひは、子供こどもらしくないこゝろからして、わざ人困ひとこまらせにするのではあるまいかとおもはれもするのである。
 一どうはな草臥くたびれまくらいた、さめあぶら燈明あかりされて、其後そのあとのこる一しゆにほひは室内しつない空氣くうき滿ちてる、けれども、まだねむにならないもの小聲こごゑで、となりまくらはなしをしてるのである。
 自分じぶん右鄰みぎどなりは、今日けふはじめて荒井あらゐひとである、四十にちかくなるまで商船しやうせん水夫すいふ稼業かぎやうとし、ゆる野心やしんなかれたうへに、父島ちゝじまからの航海こうかいつかれがあるのであらう、よこになるやいなや、グー〳〵いびきはじめた』
 左隣ひだりどなりは山本やまもとである、なにも、ならんでやうとまうあはせたわけではないが、自分じぶん此中このうちで一ばん便たよるにものおもつてらず〳〵したつた、少年せうねんこゝろ、しほらしくも、また不愍ふびんではないか。
 自分じぶん反對はんたいがはて、あたまあたまとがつてるのは、親友しんゆう山代やましろである。
 自分じぶんは、山代やましろ内地ないちはなしをしてたが、其中そのうち相手あひて仕舞しまつたので、山本やまもと如何いかにと、つてかほさぐれば
なにしやアがるんだい』と、怪立けたたましいさけびをげて、びつくきた。
 これには、かへつて自分じぶんきもつぶした。
『どうした〳〵、はや燈明あかりけないか、山本やまもとつてはうとするおほかみがある』と、銅鳴聲どらごゑ皮肉ひにく呶鳴どなてるは、山本やまもと左隣ひだりどなりにる、田邊たなべである。
 一途方とはうれた自分じぶんは、案外あんぐわいおほくなりけたのをて、是非無ぜひなきつどうえた。
『オイ山本やまもとぼくがチヨイときみつべたへさはつたんで、そんな仰山ぎふさんさなけれアならないのか、いくら年齡としすくないからつて、をとこつていふものは、モツト沈着おちついてるべきものだよ』
『アゝきみか』少年せうねんめたやうなこゑ
きみゆめたんだな』自分じぶんおだやかにつた。
 ハア〳〵と、山本やまもとかたいきをしてる。
 こゝいたつて、山本やまもと津田つだいぢめられはじめたとき事情じじやうと、ちいさときからの境遇きやうぐうつくられた、かれ性格せいかくとが衝突しやうとつした状態ありさまを、自分じぶんほゞ頭腦あたまうちえがいてあぢはふことが出來できた、自分じぶんはたゞ津田つだを一けんしたゞけであつて、其人そのひととなりのわかまでにはいたらないが、おそらくは、初手しょてから山本やまもと憎にくくつていぢめたのではなくつて、可愛かあいあまつて憎にくさが百ばいはうのであらう。
きみには御父おとつさんや御母おつかさんがあるのかえ』自分じぶんつとめて尋常じんじやうたづねた。
い』
とうからかえ』
らない』
御父おとつさんや御母おつかさんのかほらないの』
『ウン』
わかつた、諸君しよくん山本やまもとけつしておそるべき少年せうねんぢやアない、むしあはれむべき少年せうねんだ、かれうまながらの繼子まゝこそだちで、世間せけんからあらゆる虐待ぎやくたいけてものだ、かれ世間せけん全體ぜんたい敵視てきしして、つね警戒けいかいねんることが出來できない、かれは、窮鼠きゆうそねこむのいきほひもつて、世間せけん反抗はんこうした習慣しうくわんから、一しゆ性格せいかくつくられたのだ、かれ怪少年くわいせうねんでなく、世間せけんかれ怪少年くわいせうねんにしたのだ、かれつみおかすなら、それは世間せけんかれせまつてつみおかさせるのである、それを、爆裂彈ばくれつだんでゞもあるやうに取扱とりあつかふのはひと愚劣ぐれつなばかりでなく、また罪惡ざいあくはなければならない』安眠妨害あんみんぼうがい覺悟かくご自分じぶん呶鳴どなつた。
『フン、大分だいぶ思召おぼしめしがあるな、痘痕あばた笑渦えくぼはうだらう、をんなれかしまのこつたから、御無理ごむりはありませんよ』さも毒々どく〳〵しく冷笑あざわらふのは、山本やまもとなかに、自分じぶんと一けんいてとなりの田邊たなである。
 自分じぶんおもはず勃然むつとなつた。
『そんな劣等れつとう想像さうざうは、かへつて御自分ごじぶん人格じんかく告白こくはくするものぢやアあるまいか、きみのは、ひとあざけるのぢやァなくつて、君自きゝづかあざけるのかもれないぜ、たまへ』と、きびしくはぢしめてやつた。
『まアさうでもつてくさ、フヽン』、顏色かほいろわからないが、鼻息はないき何所󠄁どこまでやかである。
おのれツ』とむねなかさけんで、おもはずこぶしにぎつたが一家内かない風波ふうはおこすやうなものだとさとつてつむつた。
『ウ、ウー』とうめいて、びをものがある、『騒々さう〴〵しくつてられやアしない、ムニヤ〳〵〳〵』
 小屋こやそとをミシリ〳〵とあるおとがする、山牛やまうし山豚やまぶたであらう、怪立けたゝましくいぬゑる。

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