匣舟
2024-06-18 20:25:09
68641文字
Public 東リベ
 

辿り着きたいのは美しい終焉

今まで書いたものをまとめました!年内には完結させたいなあと思っています!
転生パロです。関東事変で🎴くんと🦋‪くんを庇っ
て、死んだら直ぐに転生した🎍くんの話です。一応キャラクターの死表現あります。そこだけ注意してください。
若干pixivに出しているのと加筆修正やタイトル変更をしたものです。まあ気にしないでください。


呪いと呼ぶにはあまりにも甘い

「あーあ、明日、絶ッ対目パンパンに腫れてるよ〜。それもこれも全部カクちゃんのせいだ!」
「武道が泣いたのが悪いだろ。というかオレの方がパンパンになる自信あるわ!」
「カクちゃん、泣き虫になってたもんね〜!」
武道だけには言われたくねェ……。」
「なんだとー!!」
 さっきまでの隔たりがまるで嘘のように睦まじい雰囲気を見せるふたりは笑い合いながら横浜第七埠頭から遠ざかっていく。
 過去と決別するためにここに来た武道と、ずっとあの日から時が止まっていた鶴蝶。偶然にも関東事変があったこの日に二人が出会い、形はどうであれ、武道も鶴蝶も過去と決別したのは確かだ。
 もうこの場に足を踏み入れることは少ないだろう。埠頭をもう抜け出そうとしていた頃に、ぐぅ、と武道の腹の音が鳴った。それを聞いてぷっと笑う鶴蝶。
「笑いすぎじゃない?」
「すまん。そういやさっき、中華街に行くってデケェ独り言、言ってたなって思って。」
「聞いてたの!?」
 なんならほぼ最初ぐらいから聞いてたぜ。とニヤける鶴蝶に武道はやかんが沸騰したかのように真っ赤になった。
「めっちゃ恥ずいじゃん!」
「はは、たらふく食わせてやるから安心しろ。」
「エッ、カクちゃんの奢り!?」
「おう。」
「カクちゃん太っ腹〜ッ!ごちそうさまでーす!」
 クルクル鶴蝶の周りを駆けながら走っていく武道を追いかけながら、鶴蝶は武道を内側の方を歩かせるように海側の方に移動しながら話しかける。
「こら、危ないぞ?暗くて良く見えねェんだからはしゃぐなよ。」
「ンな子どもじゃないから大丈夫だって!」
彼らは今度こそ後ろを振り向かず、埠頭を後にした。フワフワと埠頭に揺らめいていたひとつの魂がフワッと天へ昇った気がした。
 彼らは晩御飯をどうしようか真剣に議論している最中で気づいていなかったけれど。
「にーくーまーんが食べたいの!」
「肉まんは主食じゃねェ!オレはチャーハンがいいんだって!米が食べたい気分だし。」
「ンなもん知らねェ〜!オレは肉まんの気分!」
ジャンケン。」
 寒いというのに腕まくりをして何を出そうか考えているふたりはまるで幼い頃はしゃいでいた時と同じような姿だった。
「はいよしきた〜!カクちゃん!恨みっこナシだから!ね!」
上等だ!」
そんなどうでもいい言い合いをしながら、これからの人生を彼らはずっと互いの隣で生き続ける。武道の隣で生き続けることが鶴蝶の、鶴蝶の隣で生き続けることが武道の幸せだから。
彼らが定義した幸せは、傍からみればそれは呪いに見えるのかもしれない。何があってもずっとふたりは隣で生き続けなければならないのだから。けれど、きっとあのふたりなら大丈夫なのだろう。互いが互いの幸せを願っているからこそ、簡単に引き裂かれるようなほどの仲ではないだろうから。
「カクちゃん!早く行こ!お腹すいた〜!」
武道が鶴蝶の手を握ったあと、鶴蝶はその手を離さないように握り返した。もうオマエをひとりぼっちになんてさせてやるもんか、もうオマエを離してなんかやるもんかと意気込んで。
 これから武道をどう懐柔してやろうかと考えている鶴蝶の横で、武道は呑気に中華街で何食べよっかなあ〜。と今夜の晩御飯を考えていたのだった。