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太公望と普賢
トリミング 望普編9
twitterなどに掲載していた極短編のまとめです。望普、伏普、原作軸、現パロなどいろいろ。
「普賢真人、実は崑崙十二仙になりました!」
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【風向き】
師に呼ばれたのは夕刻も過ぎてからだった。夏の湿気た空気をかきわけるように、そこに赴いてみれば、同僚がすでに参じていて、冷たい床に膝をついている。
遅れたことを詫びつつ、隣に膝をつくと、師は白く長い髭を撫でながら「それで」と問うた。
「呂望はどんな具合かのう」
玉鼎はちらりと隣を見た。太乙はその視線を受け流し「よくないですね」と即答する。
「よくないとは? 仙人骨はあるはずじゃが
……
見込みがないかのう」
「いえ、逆です」
逆、と返した師に、太乙はため息をついた。
「いい子すぎます」
「それはおぬしらの指導が行き届いているからでは?」
太乙は「そんなわけないでしょう」と苦笑した。
「十二仙もそれぞれ忙しいんです。新入りの道士一人に構ってなどいられない。それでも私たちがほとんど手を焼いていないのは、あの子が大人しく従っているからです」
「それは悪いことではなかろうが」
わかっていませんねと、太乙が肩を竦めた。
「玉鼎はどう思う」
師の矛先がこちらに向いて、玉鼎は背筋を伸ばした。
「私も太乙と同意見です。あれはよくない兆候かと」
ほう
……
。目を隠す豊かな眉が寄せられるのがわかった。おそらく想定していた報告ではなかったのだろうが、嘘をつくつもりはない。
「かなり自分自身を抑えていると思われます。今はそれでやり過ごせるかもしれませんが、いずれ無理が来る」
「おぬしらが心を開いてやることはできんのか」
「無理です」
太乙が容赦なく口を挟んだ。相当苛立っているのだ。
「今のままでは、あの子はきっと死ぬでしょう」
師はしばし考え込んでいたがやがて「どうすればよい」と唸る。そうですねと玉鼎は首を傾げた。
「あの子に友達を与えてはどうでしょう」
「友達
……
?」
同じような境遇の、同じような背格好の、同じような年頃の。何を話しても、何も話さなくても、心の置き場所に困ることのない相手。師は頷いて「心当たりがある。そやつを連れてくるかのう」太乙がほっと息をついたのがわかった。正直なところ、あの道士のうすい刃に触れるようないい子ぶりは、痛々しくて見ていられなかったのだ。いっそ拒絶してくれたほうがいいと、太乙も思っていたのだろう。「同期ということにすれば、問題なく二人を合わせられます」そうするか、と師が膝を打つ。これで呂望がいくらかでも肩の力を抜いてくれれば。そう思いながら、太乙と玉鼎は頭を下げた。
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