トリミング 望普編9

twitterなどに掲載していた極短編のまとめです。望普、伏普、原作軸、現パロなどいろいろ。

「普賢真人、実は崑崙十二仙になりました!」


【岐路】
手を差しのべた人の目をじっと見返してから、普賢は首を横に振った。
「せっかくのお誘いはうれしいけれど、僕は行かない」
そうかとだけ呟くつもりが、どうしようもなく情けないため息が漏れて、彼は苦笑する。
「そんなにがっかりしなくても」
「別にがっかりなどしておらぬ」
強がってみたところで、お見通しなのがますます気に入らなかった。
わしと共に行かぬかと誘ったけれど、断られるとわかっていた。彼はこの場所でやりたいことがあるのだろうし、それを諦めてこちらに寄り添うほど甘くないことは、長い付き合いの中で心得ていたつもりだ。それでも万が一の可能性にかけてみようと思ったのは、隣に誰もいないことが、どうしようもなく淋しかったからだった。誰にもそんなことは言えないけれど。
「もしきみが、どうしても僕を連れて行きたいなら——
ふと普賢がいう。
「すべてを喰らうといいんじゃないかな」
髪も骨も、魂の欠片すら残さないほどなにもかも。
「そうしたら、いつも一緒だよ」
例えでも冗談でも、ましてや皮肉などでもなく、こういうことをさらっと言い放つのは彼の悪い癖だった。それがまちがいなく本心であることに、今まで何度救われ、絶望したことか。
……ダアホ。別々だからよいのだ」
そうだよねと朗らかに笑って、今度は普賢から手を差し出した。「またいつでも遊びに来てよ、望ちゃん」いかにもな笑顔に渋い顔で握手を返すと、彼はするりと身を翻した。けっして振り返ったりしない、
(そういうところが、)
どうしようもなく好きで、嫌いだった。