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太公望と普賢
トリミング 望普編9
twitterなどに掲載していた極短編のまとめです。望普、伏普、原作軸、現パロなどいろいろ。
「普賢真人、実は崑崙十二仙になりました!」
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【晴れ姿と君の笑顔】
おだやかな風を受けて空を飛んでいた。
雲はなく、晴れやかな陽光が体にあたたかい。眼下をきょろきょろと見渡しながら、幾度か山の上を旋回していた白鶴童子は、ほどなくその姿を見つけた。もっと手こずるかと思っていたが、案外見つかりやすい場所にいた。そもそも隠れてなどいなかったのかもしれない。
「太公望師叔!」
地面に足がつくと同時に呼びかける。草の上に寝そべった人がうっすら目を開いた。
「こんなところにいらっしゃいましたか」
羽根をたたんで歩み寄れば、やかましいのうと呟くのが聞こえた。
「おぬしはいつも騒がしい。もうちっと静かにやってこぬか」
「こんなおめでたい日に静かになどしていられませんよ!」
白鶴は胸を反らす。
「なんたって、十二仙が全員揃うんですからね!」
燃燈道人失踪後、長らく一人を欠いた状態だった崑崙十二仙が、ようやく勢揃いする。それだけでも一大事であるのに、空席を埋めたのがまだ年若い仙人だったことで、崑崙山中の耳目を集めた。賛否両論あったものの、当の本人はいたって冷静に謙虚に、それらを受け止め、笑顔でこの日を迎えたという。それなのに
「同期であるあなたが、なぜ式典に出席なさらないんです?」
わずかに吹く風に混じって聞こえるのは、新たに十二仙となった普賢真人を歓迎する歓声だ。おそらく壇上で元始天尊から任を授かり、誇らしげにそれを受けたところだろう。この日のためにあつらえた装束がよく似合っているにちがいない。
太公望と普賢、同時期に道士となった彼らは、ときどきよからぬ企みをしながらも互いに切磋琢磨しながら成長してきた。その様子をつぶさに見てきた白鶴は、あの幼かった普賢が十二仙に推挙されたというだけで、胸がいっぱいになるのだけれど、本来ならその場にいなければならないはずの太公望は渋い表情で「なんでわしが」と口を尖らせた。
「晴れ姿をご覧にならないんですか」
「普賢の顔などいつでも見られる」
「普賢真人さまは師叔に来てほしいのでは」
「んなもんしらん」
短く言い放ってごろんと背を向ける。あまりの頑なさに呆れて、白鶴はため息をついた。
「師叔。太公望師叔」
ついぞ呼びかけにも応じなくなって、白鶴はやれやれと肩を竦める。しかしこれはけっして初めて見た光景ではなく。
「もしかして師叔、先に出世されて面白くないんですか?」
「
…………
うるっさい」
「まったく
……
大人げないですね」
「うるさいうるさい!」
がばっと身を起こし、それから大きく肩で息を吐いた。その横顔に、白鶴はおやと目をみはる。嫌がっていたわりには、表情はあかるい。
「なにをしておる。さっさと連れて行け」
「結局行くんですね?」
「おぬしが行ってほしそうだから」
「はいはい」
「断じて普賢のためなどではないぞ。やつの顔などいつでも見られるのだから」
「それはさっきも聞きましたよ」
笑いながら大きく翼を広げる。今日一番の速さで、白鶴はその場所を目指した。
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