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太公望と普賢
トリミング 望普編9
twitterなどに掲載していた極短編のまとめです。望普、伏普、原作軸、現パロなどいろいろ。
「普賢真人、実は崑崙十二仙になりました!」
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【梅見日和】お題/「これはうまいのう」「本当おぬしというやつは」
小春日和だった。風はなく陽ざしはあたたかく、どこかから鳥のさえずりも聞こえる。地上の戦乱などない平和な昼下がり、このおだやかさをぎゅっと凝縮したような笑顔で姿を現した普賢に、太公望は身構える。
「
……
なにかよからぬことを考えておるな」
やだなあ考えすぎだよと普賢は苦笑した。
「おいしいお菓子を、おすそ分けに来たんだ」
そういって取り出したのは、うつくしい陶器の箱。乳白色の蓋を開けると、繊細そうな菓子が二つおさまっていた。
「梅の花を模したものだそうだよ」
深い緑の小皿に一つずつ取り分ければ、冬の朝に春の訪れを告げる一輪のように見えた。
「とっておきなんだって」と言いながら、普賢はお茶を注ぐ。ふんわりかぐわしい香りがあたりに漂った。梅の形の菓子を慎重に手のひらに乗せ、口に運ぶ。ほろりと崩れたそれはほのかに梅の風味を残しながらすぐに溶けてしまう。
「
……
これはうまいのう」
そうでしょう、と普賢も満足そうに頷いた。
「望ちゃん、落ち込んでいるかと思ってさ」
太公望はむっと口を噤んだ。これで何回目かの、無断外出を師に見つかって大目玉を食らったことをどこで聞いたのか。「おぬしも誘ったのに」と言えば「僕は優等生だから」と涼しい顔をする。まあ、そういうやつだ。あきらめて、残りの菓子を口に放り込んだ。小春日和のやわらかい陽ざしのような甘さだった。
「ところで望ちゃん、」
お茶のおかわりを注ぎながら、普賢は声をひそめた。
「実はこのお菓子、竜吉公主から元始天尊さまに季節のご挨拶として作られたもので、僕はそれを持っていくよう頼まれて預かったんだけど」
「は?」
言っている意味がわからず、太公望は瞬きをする。
「ねえ、望ちゃん。食べちゃったよね」
「おぬし、まさか」
「ちょっと一緒に行ってほしいところがあるんだ。いいお天気だし、梅も見頃だし、この箱も証拠隠滅したいし」
「いや、わしは謹慎中で
…
!黄巾力士も貸してもらえぬし!」
「大丈夫」
いつもの三割増しの笑顔で、普賢は外を指さした。
「僕のを持ってきたよ」
「本当おぬしというやつはー!」
甘いばかりの話などどこにもないのだけれど、それでもその誘いは抗いようがないほど甘いのだった。
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