【#深淵覗きの断章】But It Is Not This Day

アレフ=レーシュ編、最終作。
夢を介して、『捨てられた地の大精霊の記憶』を見たガーベラとネモフィラ。
目覚めた彼らに、空の王国と星の子どもたちの運命を揺るがす試練が待ち受ける。

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠
※戦闘・流血描写を含みます。

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作


「麗しき獣の子、深淵覗きガーベラよ。我が不意打ちをよくぞ防いだ」
 捨てられた地の大精霊が白銀の光で戦装束を飾った荒れ地の勇者が、巨大魚の仮面の奥で深紅の双眸を細め、ガーベラを見下ろしている。
「そして、遂に見つけてしまったな」
 真意を問おうとしたガーベラを遮るように、大精霊は言葉を続けた。
「このツァディが犯した禁忌、『生物工場』と『工業用生物』たちを」

『将軍ツァディ……我が武術の師、王国最強の守り手よ。“敵”の返り血に濡れたその姿の、なんと恐ろしく美しい事よ』
『お前は生物どもや叛逆者を狩る一方、テスやアインやラメドから多くを学び、弛まぬ努力と探究を経て、己が領地を光バッテリーの一大産地に仕立て上げたではないか。正しく文武両道の大英雄なり!』
『お前はラメドと共に我を守り、我に仕え、天に抗い世界に挑む我を愛してくれる。ダレットの如き裏切り者が現れ続けている中で、なんと心強いことか!』
『“工業用生物生産施設”の改良案について、近々極秘の会議を設けたい』

 アレフ=レーシュの記憶の夢を思い出し、獣のガーベラは全てを察した。そして……
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」
 怒りと困惑の雄叫びを上げ、巨躯の勇者に戦いを挑んだ。
 ガーベラは高速の白い嵐となって縦横無尽に動き回り、巧みに大槍を躱して大精霊との間合いを詰め、金炎を纏ったチョップや突き、蹴りや頭突きを本能のままに繰り出した。
 その度に、大精霊は大槍と大盾でガーベラの攻撃を正確に防御し、受け流す。遥かな昔日の、アレフ=レーシュとの模擬戦闘を懐かしみながら。

 赤炎纏う槍と金炎纏う爪は頻繁にぶつかり合って火花を散らしていたが、十数分後にその頻度は減っていき、やがて止まった。
 極度に疲弊したガーベラが変身を解き、その場にへたり込んだからだ。

 捨てられた地の大精霊も、火の灯った大槍と大盾を置いて、リトル・ガーベラの傍で胡座をかいた。