【#深淵覗きの断章】But It Is Not This Day

アレフ=レーシュ編、最終作。
夢を介して、『捨てられた地の大精霊の記憶』を見たガーベラとネモフィラ。
目覚めた彼らに、空の王国と星の子どもたちの運命を揺るがす試練が待ち受ける。

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠
※戦闘・流血描写を含みます。

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作


 草原の洞窟。
 造り手は、“牙を生やした巌”と見紛う無骨なガントレットで、トドメの殴打を荒れ地の勇者に喰らわせようとした。しかし……
「ごめんね、テス。僕には無理だ」
 討たれた技巧師に呼びかけ、造り手は涙を溢し、ガントレットを外す。

「アインよ、お前は私を心から憎んでいるのだろう? 」
 満身創痍の勇者は困惑した。
「何故……何故トドメを刺さない?」
「ツァディ……僕はやっぱり、君を討てない」
「なんだと?」
「『最初の叛乱戦争』で、君はテスやサメックをこの世から断ち切った。その憎しみは、幾年経とうとも尽きない。でもね、僕はかつての友を仇敵として討つ勇気を、どうしても持てないんだよ」
 造り手は光の蝶の力を借りて、己や勇者の傷を癒す。

 荒れ地の勇者は、草原の造り手の毅然とした言動に、言葉を失くした。
 己にできぬ事を素直に認め、休戦を選ぶ。憎い筈の敵を、友として助ける。
 愛する王の為にこの世の全てを敵に回した勇者は、そんな勇気を、永い間忘れていた。

「やっと自覚できたよ。今の僕の役目は、心を黒く塗り潰した復讐鬼じゃない。と言っても、君と再び手を取り合う気は……ないけどさ」
 その背に槍を突き立てる事も出来るのに、心を砕かれた勇者は動けない。

「ツァディ、陛下にアレフ=レーシュに伝えてくれないかな。『僕らは僕らのやり方で、じきにやって来る暗闇の日に備える事にする。あなたが僕らを討ち取る日は来ないだろうから』ってね」

 また、場面が切り替わる。