【#深淵覗きの断章】But It Is Not This Day

アレフ=レーシュ編、最終作。
夢を介して、『捨てられた地の大精霊の記憶』を見たガーベラとネモフィラ。
目覚めた彼らに、空の王国と星の子どもたちの運命を揺るがす試練が待ち受ける。

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠
※戦闘・流血描写を含みます。

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作


「「そこにいたなァーッ!!!」」
 イジーの背後から旋風を伴い現れたのは、峡谷の大精霊たちだ。

「おお、モフケモガーベラにツァディ将軍まで!」
「待ってろよ二人とも、助太刀するぜ!」

 輝くバットをイジーめがけて幾度も振り下ろすも、双子の大精霊の攻撃はかの子が差し向けた生物たちに阻まれる。彼らの触腕に掴まれ、大精霊たちはガーベラたちの後方へ投げ飛ばされた。
「「ウワーッ?!」」

「全く、仕方のない奴らめ!」
 悪態をつきながら雨林の大精霊が出現し、左手の念動力で峡谷の大精霊たちを受け止めた。
「「た、助かった……技巧師殿……」」
「無謀な戦い方は控えよと散々言ったろう! 守れなかったらどうしてくれる?!」
 双子を床に下ろすと、雨林の大精霊は右手の輝く大槌を巧みに振り回し、白銀色の火花を散らしながら、迫り来る工業用生物たちを叩き潰していく。
「ああ、こりゃダメだな。闇の力が強すぎて全く効いていない」
 瞬く間に再生していく生物たちと、防御や回避に徹する勇者と獣を見るに見かねて、雨林の大精霊は叫んだ。
「アイン、ダレット殿、こちらは劣勢だ! ネモフィラと一緒に支援に来ておくれ!」

 生物工場のあちこちから光の蝶と鳥の群れが現れ、一部は大精霊たちやガーベラに力を注ぎ、もう一部は閃光を発してイジーと工業用生物たちの眼を眩ませた。
「イジーよ……やはり、危惧していた通りになったようじゃな……
「ツァディ、みんな、大丈夫かい?」
 恐れを成した生物たちがイジーのもとへ退避する中、獣のガーベラと捨てられた地の大精霊の傍に、孤島と草原の大精霊たちが現れた。
「やれやれだ。こんなところに居やがったとは!」
 草原の大精霊の左肩にしがみ付いていたネモフィラは、大マンタのケープを羽ばたかせ、驚くガーベラの背に着地した。

「ネモ?! どうして大精霊様たちと一緒に?」
「造り手様や渡し守様から色々教えてもらっててさ。ほれ」
 ネモフィラはガーベラの頭に触れ、“直結交信”で情報を連携した。
 草原の大精霊が語った『真っ新』の儀式の成り立ち。アレフ=レーシュ復活計画が書庫の大精霊の望み通りに実現すれば『非常に不味い事態』になるため、他の大精霊たちは計画を阻止すべく秘密裏に結託し、様々な活動を行っていた事。書庫の大精霊は『最もアレフ=レーシュに近しい残り火を新たな王にする』何らかの手段を確立しているらしく、計画を実現するためにイジーを解放して暴走させた事。
「なるほど……この状況も、あの大賢者様の想定内というわけか」
 1秒も経たぬ内に情報を託され、咀嚼し切ったガーベラは、その前方黒い潮めいて蠢めく工業用生物の群れと、頭を抱え苦悶の声を上げるイジーを睨んだ。

『アタシがアタシで無くなる前に助けて。それが無理なら、彼らの手の届かぬ遠くへ逃げて』

 記憶キューブに残されたイジーのメッセージを思い出し、獣のガーベラはやるせなさに歯噛みする。
「まずはどうにかしてイジーを止めないと。でも、イジーをイジーのままで助ける事は大精霊様たちでも難しい……あの子から、王の影の呪いをバッサリ断ち斬れたらいいのに!」
 ガーベラがそう声に出した直後、かの子の全身の体毛が白金色に光り、金炎の爪が更に伸びて輝きを増した。