【#深淵覗きの断章】But It Is Not This Day

アレフ=レーシュ編、最終作。
夢を介して、『捨てられた地の大精霊の記憶』を見たガーベラとネモフィラ。
目覚めた彼らに、空の王国と星の子どもたちの運命を揺るがす試練が待ち受ける。

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠
※戦闘・流血描写を含みます。

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作


……へ?」
 突如自身に起きた変化と凄まじい力の漲りに、ガーベラは思考停止状態に陥り、間抜けな声を出した。
 だがその姿は、さながらかつての力と輝きを取り戻した大精霊のように神々しい。

「ねえツァディ、これってもしかして……
「ああ。深淵覗きの“獣の力”……その『真価』が見られそうだぞ、アイン」

 造り手と勇者の会話、そして他の大精霊たちの期待に満ちた眼差しに対し、ガーベラは目を丸くする。
「えっと、あの、どゆこと?」
「ガーベラ……お前、オレに教えてた大切な事を忘れちまったのか?」
 ネモフィラは鳥仮面の下で笑みを浮かべ、獣のガーベラに語りかける。
「異能は『成せて当然と思えば成せるもの』だろ? 勇者様もそう言ってた。今のお前なら、きっと望み通りにイジーを助けられる!」

 秘宝の環礁の深海で“獣の力”を得た『深淵覗き』王に至る可能性から逸脱した異端の『残り火』は、大親友の激励で、己の役目と『切り札』をようやく理解した。
 そして、自信満々に答えた。
「ありがとう、ネモ。そういうことなら……私に任せて!」

 その後、ガーベラは再度イジーの様子を見て、ある異変に気が付いた。
「みんな、気を付けて。イジーの後ろに何かいる!」
「後ろって……あっ、アイツは!!!」
 ガーベラとネモフィラの叫びを聞いて、他の大精霊たちはふたりを守るように陣形を組み、呻めき続けるイジーの背後に目を向けた。

 そこには、青黒い八芒星の仮面を被った、黒い巨人が立っていた。
「嗚呼……呪われろ、呪われろ、呪われろ!」
 黒く煌めくノイズを纏い、灰色の長髪を靡かせて、黒い巨人は嵐の前の暗雲めいた声音で呪詛を吐く。
「我が王国……我が臣下……我が残り火ども、全て呪われてしまえ!」
 堕落の王呪いの根源たるアレフ=レーシュの影は、さながら忌々しげに睨みつけるように、仮面中央の赤い『一つ眼』を瞬かせた。