【#深淵覗きの断章】But It Is Not This Day

アレフ=レーシュ編、最終作。
夢を介して、『捨てられた地の大精霊の記憶』を見たガーベラとネモフィラ。
目覚めた彼らに、空の王国と星の子どもたちの運命を揺るがす試練が待ち受ける。

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠
※戦闘・流血描写を含みます。

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作


「でかしたぞガーベラ! よくやったぜ!」
 ネモフィラは飛び跳ねて大喜びし、リトル星の子の姿に戻ったガーベラを抱きしめる。
「えへへ……大精霊様たちとネモがいてくれたおかげだよ。本当にありがとう」
 リトル・ガーベラは照れ笑いし、ネモフィラと拳を突き合わせた。

 一方、草原の大精霊は胡座をかき、イジーを抱き上げて呼びかける。
「これで君を蝕む者はいなくなった。どうか目を覚ましておくれ」
 大精霊と光の蝶たちが癒しの力を注ぎ、イジーの全身を侵す闇を祓っていく。
 心配そうに見守るガーベラだったが、浄化は順調に進み、数分後にイジーは草原の大精霊の腕の中で目を覚ました。
「ガーベラさん、ネモフィラさん、大精霊さま……迷惑かけちゃって、本当にごめんなさい。アタシ、アタシ……
 泣きじゃくりながら詫びるイジーに、草原の大精霊は優しく語りかける。
「謝らないで。迷惑をかけたのは僕たち大精霊だ。君は何も悪くない」
 孤島、雨林、峡谷、捨てられた地の大精霊達も一様に頷いた。
「オレたちは、絶対に助けたい一心でお前を探しに来た。危険な目に遭う事を承知でな。ただそれだけだぜ!」とネモフィラは笑う。
「ネモの言う通りだよ」ガーベラが同意し、言葉を続ける。
「イジー、私はね、独りで頑張ってたキミを無事に助けることができて本当に嬉しいの。私に与えられた『役目』を理解して、成し遂げる事も出来たから。今はゆっくり休んで」
 感極まったイジーは、嗚咽を漏らしながら頷いた。

「そういえば、深淵覗きにひとつ尋ねたいことがあるのじゃが……おぬしは、ネモフィラの『王位』も断ち斬れるのか?」
「いいえ」孤島の大精霊の問いに、リトル・ガーベラは困ったように首を横に振った。
「それは難しいと思います。ネモの魂というか、存在そのものがアレフ=レーシュにとても近くなっているから……

「その通りです」ガーベラの言葉を、ネモフィラの傍に出現した書庫の大精霊が遮った。
「なぜなら、ネモフィラは完璧な王の後継ですからね」そう言って右手を掲げた直後、広範囲に強力な念動力が発動した。

 ガーベラとイジー、そして他の大精霊たちは、不可視の重い何かに押さえつけられたように動けなくなった。
「うわーッ、放せ、放しやがれーッ!!!」
 書庫の大精霊は喚くネモフィラのケープを左手で引っ掴み、青白く輝く魔法陣でネモフィラの四肢を拘束した。仮面の下でほくそ笑み、愛おしげに語りかける。
「ずっと、ずっと待っていました……私の求めた『願い星』、新たなるアレフ=レーシュを手に入れる瞬間を」
 かつての王の宰相は、背後からネモフィラを深く抱き締め……容赦無く電流を流し込んだ。
「“直結交信”での抵抗は想定内です。絶対に逃がしませんよ?」
「ア…………!!!」
 声なき悲鳴を上げ、数回痙攣した後、ネモフィラは書庫の大精霊の腕の中で気絶した。

「ネモーーーーーッ!!!」
 ガーベラの絶叫がむなしく反響する中、書庫の大精霊はふわりと宙に浮かび、ネモフィラと共に姿を消した。