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河童の皿箱
2025-04-02 09:42:52
33860文字
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遊戯王:長め
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娑楽斎が端午の節句を祝うだけ
娑楽斎が端午の節句を祝うだけ
※設定に誤りがある部分あり。未修正。
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トラックと車が鯉幟のはためく渓流に停まり、黒衣と小夜丸、そしてカラクリ達が出迎える。トラックから降りてきたのは、この祭りを主導する娑楽斎と、その手伝いとは名ばかりでこき使われているファイアとラゼン。車から降りてきたのは、御巫の里で合流したワゴンとふたりのセアミン、そして3人の御巫達であった。
ワゴンとスパイダーはそのまま乗ってきた車に乗り、自分たちが招待されている公演に向かった。あいつらこれやりながら自分の仕事もしてんのか
……
ってか、セアミンは一体どこにいたんだよ。ラゼンがついつい口走れば、ぼんやり顔のセアミンは答えた。御巫の里でお仕事があったの。ちょっとだけ早く切り上げて、合流した、と。その隣で緑髪の御巫、フゥリはそわそわしながらも、準備が進む会場に目を輝かせていた。
川沿いの道には屋台を建てるための区分けがされ、その囲いの中心には小さな箱が置かれている。川の向こう側には舞台の骨組みが出来上がっており、あとは板張りすれば出来上がるだろう。ハレとニニは、フゥリに耳打ちする。ねえ、あそこで踊るんだよ。きっと楽しみにしてくれる人もいっぱい居るね、と。
体をうーんと伸ばしたファイアは、少し前までがらんとしていたこの駐車場に、いくつか見覚えのない車が停まっていると気づく。月が替わり、いよいよ祭りが近づいてきたからか。それとも、鯉幟をあげたからか。川辺の散歩を楽しむ人もいれば、屋台の場所を確認しに来た人もいた。改めて、この催しが大規模であるのを実感する。
一息ついて、娑楽斎の前へ身を乗り出したのは、小夜丸である。ここ数日スパイダーとカラクリ達と共同で敷設してきた、秘泉からの取水パイプの完成とタンクへの貯水、浴槽にも問題なく給水でき、水質も問題ない、とのこと。そして、これも力作なんですけど、と囲いの中心の小さな箱に人々を集める。そこから飛び出ている紐をグイッと引っ張ると、カチャカチャと変形し始め、びょんと飛び出る横棒と、更にぴょんと飛び出す縦棒と。なんだなんだと怯んでいるうちに、なんと屋台が勝手に組み上がった。
これはわたしとスパイダーさんと、カラクリの皆さんの技術の結晶! 名付けて、仮カラクリ小屋です! わーぱちぱちぱち! これで屋台の設置時間も大幅削減! その間に別の事したり、なんならみんなで遊びに行けますよー!
小夜丸はむふんとばかりに得意顔で胸を張れば、さらにさらにと続ける。また紐をグイッと引っ張ると、今度はぱたぱた畳みだし、勝手に小さな箱に戻った。娑楽斎は驚愕する。こりゃあすげぇ。これがあれば他のイベントもやりやすくなるし、別の使い方をしても面白いだろうな。よくやった、グッドな開発だ、と。
そうでしょうそうでしょう! なにせとっても腕のいい技術者達が集まって作ったものですから! もちろん、わたしもその1人! まあ、わたしは後ろで応援していただけですが!
小夜丸の鼻がどんどん高くなる。そうこうしていると、後ろから巨体のカラクリがズシズシと歩いてきた。カラクリ達の将軍、無零である。これらの箱は絡新婦殿に感謝を込め、今回制作した分はお前たちに授けよう。これ以上の数を揃えたいのであれば、より材料が必要だ。後日、改めての交渉となる。良いな。カラカラ回る歯車の中から聞こえる低い声に、娑楽斎は頷く。あぁ、もちろんだ、と。
さてと、ファイア、ラゼン。娑楽斎の声に、2人は振り向いた。トラックに載ってる材料はそっちに停まってるキッチンカーに渡してくれ。常温でも問題ないが、念のために冷蔵設備を借りる。で、仮カラクリ小屋だけだと屋台は足りないから、今日からは設置の手伝いに回ってほしい。俺はまだ別んとこ回らないといけねぇから
…
あぁ、それと。セアミンたちのことも頼んだ。夜には戻る。
と、まくしたてるように言って、またどこかへ行ってしまう。その背中をぼんやりセアミンが追いかけようとするが、その頃にはもう居らず。ぷぅ、と頬が膨らむのがファイアには見えた。
おい、どうしたんだよセアミン。がっくりと肩を落とす様子に、ファイアは声をかける。ぼんやりセアミンは、ただ娑楽斎が行ってしまった方向ばかりを眺め、口にする。あれ、良くない、と。すると、もうひとりのセアミンこと、しゃっきりとした方のセアミンが、ファイアさん、ラゼンさん、と声をかけた。あの、つかぬことをお聞きしますが、娑楽斎はここのところ、どういう過ごし方をしていましたか、と。
どうって言われても。ファイアとラゼンは思い返す。移動して、運んで、運転して、どっか行って、戻ってきて、運搬して、運転して、どっか行って
…
その繰り返しだ、としか言えないな。あぁ、どこ行ってるかまでは俺たちだと分からない。不意にしゃっきりセアミンは頭を抱えた。あぁ、どうしよう。また悪癖が。
あの、すみません。その
……
お忙しい中恐れ入りますが、どうか手を貸していただきたくて。一晩だけでいいんです、どうか。
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