河童の皿箱
2025-04-02 09:42:52
33860文字
Public 遊戯王:長め
 

娑楽斎が端午の節句を祝うだけ

娑楽斎が端午の節句を祝うだけ
※設定に誤りがある部分あり。未修正。



 次のシャトルバスで、運行も終わる。どの店ももう閉まっていて、さっきまであった熱気と賑わいはどこへやら。すっかり静まり返り、今会場にいるのは、片付けを始めた人々と、まだ散歩を楽しむ人々ぐらいなもの。娑楽斎はファイアとラゼンを下の駐車場まで見送り、そして契約書を取り出した。
 2週間前にサインした契約書の満了。判子を押して、事前に契約した報酬金が入った封筒は、分厚い。手渡され、それぞれ中身を確認すると、中には明細書と、それなりの厚さの札束が入っていた。ファイアと少年は目を剥いて驚き、ラゼンは特段驚くこともなく、懐に仕舞った。おい、ファイア。これはお前がしっかり働いて得た金なんだから、何にも気にせず受けとりゃ良いんだよ。娑楽斎は金の感覚おかしいが、さてはお前もお前で逆の方向に金の感覚ねぇな? その言葉に、ファイアはむっと唇を尖らせた。仕方ねぇだろ。あっちじゃあ、なかなか働く先も見つからねぇし、と。
 重ねてになるが、手伝ってくれてありがとう。本当に助かった。娑楽斎が頭を下げれば、その隣に立つ2人のセアミンも頭を下げる。ありがとうございました、と。ファイアは報酬金を仕舞いこんで、子供達を笑顔にする仕事だったしな、大歓迎だ、と。そしてラゼンは、まあ、割のいい仕事だったからな、同条件の仕事なら振ってくれりゃあ駆けつける、と。はは、心強いな。その時は、もっと余裕のあるスケジュールでぎっちり仕事詰め込んでやるよ、と。
 そういやぁ、あの鯉幟は空に飛んで行っちまったが、どこ行ったんだ? ファイアがふと、疑問を口にすれば、娑楽斎は応える。御巫の里に箱を置きに行っただろう? あん中に戻る魔法がかけられた特別製なんだ。箱自体にも印がついてる。蔵の持ち主のハレの母ちゃんには話を付けてあるし、片付けは柱と紐と矢車だけでよし、乾燥とかもさせなくてよし。まあ、あげるのだけはどうしても人の手が必要なんだけどな。ラゼンはへえ、と。魔法って便利だとばかり思っていたが、全部はできないんだな、と。いやぁ、出来なくはねぇんだけど……あーやめやめ、この話はこれで終わりだ! 娑楽斎は何かを言おうとするが、少年に目をやると突然話を終えた。あぁ、とラゼンが頷くが、ファイアはどうにも納得いっていないようで。

 まあ細かいなんやらはおいといて、祭りは大成功! 俺もあれだけ人呼べるぐらい、大規模に祭りができて大満足! ただ、まだまた挑戦したいこともあるし、今回できなかったことだってリベンジしたい! だから、また頼むぜ。

 最後のシャトルバスが走ってきて、停まる。娑楽斎とセアミンは、バスに乗ったファイアとラゼン、そしてその道を供に帰る少年と兄弟子に手を振る。

 じゃあな。気を付けてな。おう。

 ぶるん、と唸りをあげて、走り去っていくシャトルバス。エンジンの音も、鳥や虫の声よりもずっと遠くに。ふう、と息を吐いては、肩の力を抜いて。さ、もう一息。後片付け頑張るか。