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ゑ/圓堂
2025-03-26 23:40:55
27579文字
Public
管理NO3250本丸
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【刀剣乱舞】その愛を何と呼ぶ・前編<web再録>【創作男審神者×一文字則宗】
2021年8月インテックス大阪開催の閃華の刻で頒布し現在は完売となったさにごぜ本のweb再録となります。こちらは前編となります。
再録にあたり(色々ととんでもなかったので)そこそこ加筆修正を行っています。
刀剣乱舞というジャンルにきて初めて出した、最初のさにごぜ長編です。さにごぜが特命調査慶応甲府を経て邂逅するまでの物語を綴りました。
本をお迎え下さった皆様本当にありがとうございました。
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***
「
……
へぇ、俺が?」
時刻は夕刻。
遠征から戻った加州清光を捕まえた蜂須賀虎徹は例の特命調査の話を伝えた。
新選組と浅からぬ縁を持つ彼は、しかし酷く冷めた目線でただ一言、零した。
「ああ、まだ予測でしかないけれどね。これまでの流れからすると、君の存在が今回の任務の要になる可能性は非常に高い」
「ふーん
……
。別にいいけど、役には立たないかもよ」
加州清光の態度に、蜂須賀虎徹は心中深く溜息を吐いた。
こうなる事は予測していたが、実際にその言葉や態度を直に受けるとひりひりとした感情が胸を刺す。
「
……
そんな事は」
「いいよ別に。蜂須賀サンだって解ってるだろ。似たような立場だし。
……
違うか、蜂須賀サンは近侍だから特別だもんな。俺や安定みたいに万年演習と遠征だけのお飾り刀とは違うか」
加州清光の燃えるような真紅の瞳の奥は、どす黒い炎がくらくらと燃えているように重苦しく、それでいて冷ややかだ。蜂須賀虎徹は僅かに戦慄を覚えずにはいられなかった。
加州清光。
彼は審神者が本丸へと就任する際に、まず一振り与えられる刀剣男士のうちの一振りでもある。
新選組一番隊隊長・沖田総司が実戦に於いて使用したというその刀を、この本丸の主は最初の一振りには選ばなかった。
選ばなかった、というよりは、選べなかった、というのがより正確かも知れない。
後に本丸に加州清光が顕現してからも、主は彼を重用する事は無かった。寧ろ積極的に彼を使う事を避けるような采配ばかりであった。それは、同じく沖田総司の佩刀であった大和守安定も同様の扱いである。
結果として彼らにとってその扱いは、自身の存在を否定されるような思いを抱かせる事となってしまった。特に加州清光のそれは、最早憎悪に等しい程である。
菊一文字という創作の刀にばかり焦がれ続けた己が、実際に沖田総司に使われた刀を振るう資格など無い
——
主の真意は、残念ながら未だ蜂須賀虎徹にしか知られていない。
全てを知る蜂須賀虎徹が最も憂いている確執はここにあった。
主が抱え込んでいる全てを素直に、加州清光に、大和守安定に、新選組隊員を前の主に持つ刀達全員に吐露すれば、きっと彼は疎まれずに済んでいたのだ。
だが彼はそれを望まない。唯一全てを知る蜂須賀虎徹にわざわざ口止めまでして、主は自身と新選組にまつわる想いを封殺していた。
そうまでする主の根底に眠る本音までは、蜂須賀虎徹にさえも理解出来ぬままである。
「
……
ちょっと、そんな顔すんなって。別に蜂須賀サンの事は責めてないし、任務なら全うするまでだよ。心配しないで」
蜂須賀虎徹の浮かぬ顔に、加州清光は乾いた笑いを含ませ努めて明るく振舞ってみせる。
だが、その瞳に宿る暗い炎は消えぬままだ。
「
……
ありがとう。急だけど、よろしく頼むよ」
「はいはーい」
やっとの事で蜂須賀虎徹はそれだけ絞り出す。蜂須賀虎徹の胸の内を知ってか知らずか、加州清光は軽やかに背を向けて、気のない返事だけを残して去っていった。
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