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ゑ/圓堂
2025-03-26 23:40:55
27579文字
Public
管理NO3250本丸
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【刀剣乱舞】その愛を何と呼ぶ・前編<web再録>【創作男審神者×一文字則宗】
2021年8月インテックス大阪開催の閃華の刻で頒布し現在は完売となったさにごぜ本のweb再録となります。こちらは前編となります。
再録にあたり(色々ととんでもなかったので)そこそこ加筆修正を行っています。
刀剣乱舞というジャンルにきて初めて出した、最初のさにごぜ長編です。さにごぜが特命調査慶応甲府を経て邂逅するまでの物語を綴りました。
本をお迎え下さった皆様本当にありがとうございました。
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特命調査もいよいよ大詰めである。
残すは敵本丸のみ。
流石の彼らも、割り切ってはいるつもりでもその表情は決して晴れやかなものではない。
ここに在るのは、歪められた偽りの歴史の幻影だけだ。しかし、それが例え偽られた姿かたちであっても、かつて共に幕末の世を駆けた元の主とその仲間達を模しているのは、縁のある彼らだけでなく同行した蜂須賀虎徹でさえも気分のいいものではなかった。
こんな事は早く始末をつけてしまおう。
部隊の想いは一つの意思に収束していた。
ただ一振り、蜂須賀虎徹だけが、それだけに留まらぬ想いを抱えている。
彼は今、敵本丸へと続く道程の最後の連戦の前に、監査官が加州清光に語った話を思い出している。
『昔、新選組に天才肌の少年剣士がいた』
『その少年が持っていた刀に、金一万両の名刀があった』
そして、つい先ほど交わされた会話へと記憶を巡らせる。
『作り話であろうと、その話を付け加えたかった者がいたのだ』
監査官の、どことなく何かを慈しむような声を思い出す。
彼が何者なのか、どこからやってきて、何を見、何を感じて、今ここに在るのか。
蜂須賀虎徹の結論は一つの可能性へと真っ直ぐに向かい始めている。
蜂須賀虎徹はほんの少し、天を仰ぎ見る。
甲府城へ入る前は確かに上空にいた筈の『鳩』の姿が見えなくなっている事に、彼はやっと気付いた。道中の見張りの多さに気を取られて存在を失念してしまっていたようだ。
たとえ音声のない映像であっても、あの賢しい主の事である。何かを感じ取っていたかもしれぬ。甲府城へ突入してからの、監査官と加州清光の会話風景が一切主の元へ届いていないというのは、果たして偶然なのか、それとも。
監査官は、ある程度この部隊の属する本丸について知った上で同行していると話していた。少なくとも主がどういった人間なのか、それについては認識しているような口振りであった。ならば。
蜂須賀虎徹は、少し前に主と語り合った夜の事を思い出し、そして彼の生い立ちを思い返す。彼が自分以外に自身の生い立ちを、抱えてきたものをどれだけ晒してきたのかは蜂須賀虎徹に知る事は出来ない。ならば。
ならば。
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