ゑ/圓堂
2025-03-26 23:40:55
27579文字
Public 管理NO3250本丸
 

【刀剣乱舞】その愛を何と呼ぶ・前編<web再録>【創作男審神者×一文字則宗】

2021年8月インテックス大阪開催の閃華の刻で頒布し現在は完売となったさにごぜ本のweb再録となります。こちらは前編となります。
再録にあたり(色々ととんでもなかったので)そこそこ加筆修正を行っています。
刀剣乱舞というジャンルにきて初めて出した、最初のさにごぜ長編です。さにごぜが特命調査慶応甲府を経て邂逅するまでの物語を綴りました。
本をお迎え下さった皆様本当にありがとうございました。






――俺は、ただここに居るしかなくなった男だ」

蜂須賀虎徹に背を向けたまま、主はやるせない声音で呟いた。
蜂須賀虎徹は、表情の窺えぬ彼の、草臥れた背中を見つめる。



『贋作を嫌うお前にとって、その存在すら虚構だった刀というのは嫌悪を通り越して滑稽だろう』



彼が以前、たった一度だけ語ってくれた半生。
その締めくくりに吐き出した言葉を思い出し、蜂須賀虎徹はその顔に影を落とした。



……そうでもないさ。少なくとも、俺にとって今の主は君だ」

あの時かける事の出来なかった心の内を、蜂須賀虎徹はやっとの思いで口にした。
しかしその言葉の薄さに、彼は己に対してうんざりするような心地を味わう。

悪いな気を遣わせて、と振り返り様やるせなく笑う主の顔を見て、更にその心地は蜂須賀虎徹を支配した。