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ゑ/圓堂
2025-03-26 23:40:55
27579文字
Public
管理NO3250本丸
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【刀剣乱舞】その愛を何と呼ぶ・前編<web再録>【創作男審神者×一文字則宗】
2021年8月インテックス大阪開催の閃華の刻で頒布し現在は完売となったさにごぜ本のweb再録となります。こちらは前編となります。
再録にあたり(色々ととんでもなかったので)そこそこ加筆修正を行っています。
刀剣乱舞というジャンルにきて初めて出した、最初のさにごぜ長編です。さにごぜが特命調査慶応甲府を経て邂逅するまでの物語を綴りました。
本をお迎え下さった皆様本当にありがとうございました。
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『全く、今日は最低の一日だよ』
『えらく機嫌が悪いな、演習相手に何か言われたか?』
『あいつがいるだけで不愉快極まりないんだ』
『あいつ?』
『贋作のくせに僕や浦島よりずっと虎徹の名を恣にしたあいつさ。この本丸にはまだ顕現していないのが救いだよ』
『ああ
……
長曾祢虎徹か。そういえばまだうちには居ないな』
『ほら、名を出さなくてもすぐに判るだろう。気に食わないな。虎徹の名を冠されると迷惑だ』
『真作としては目障りな存在ってか』
『当たり前だろう。虎徹を名乗っていいのは真作だけだ』
『なるほど。
……
まあそれも解らん話じゃない』
『そうだろう?』
『けれどそれだけで、そいつの本質を決め付けるのはどうだろうな』
『っ!主、君はあの贋作の肩を』
『俺が知っている長曾祢虎徹は、新選組局長近藤勇の愛刀で、池田屋事件でも折れる事なくしっかり主を守り切った刀だってだけだ。例えそれが長曾祢虎徹という名の刀でなくたって、俺の認識は少しも変わらない』
『
……
』
『刀の価値は名前で決まるんじゃない。そう言う奴もいるかもしれないが、少なくとも俺はそうじゃない』
『
……
そう、か』
『お前だってそうだ。
……
名前だけが、お前の価値を決める訳じゃないだろう?俺はそう思ってるけどな』
いつか、主と交わした会話を。
何度も思い返し、自らの糧としてきたあの日の事を蜂須賀虎徹は回想する。
あの日から、蜂須賀虎徹は自分がこの世に顕現した意味を、彼の元で部下として共に戦う事の意義を、明確に定める事が出来るようになったと感じている。
極になるための修行の旅も、彼との対話がなければ今の姿は無かったであろう。
長曾祢虎徹がこの本丸に顕現し、今こうして共に同じ部隊で彼とその仲間達の歪められた過去を正すために、同じ方向を向いて尽力する事も出来なかったかも知れない。
蜂須賀虎徹にとって、だからこそ主は、仕えるに相応しい。
与えられた人の身で、彼に尽くす事を厭わない。
だから。
だからこそ。
(俺は何よりも、君が救われて欲しい)
「
——
終わりにしよう」
無意識に口を突いて出た蜂須賀虎徹の言葉を、部隊の全員が拾い上げて彼を見る。
「
……
そうだな」
長曾祢虎徹が前方を見据えたまま応える。
眼前には、かつての彼の主の歪な幻影がゆらゆらと瘴気を立ち昇らせている。
「ホント、こんな胸糞悪い世界とは早くオサラバしないとな。ったく、沖田君はそんなブサイクじゃないっての」
この場所に存在する筈のない偽りのかつての主に、加州清光がくだけた調子で語りかける。
刹那、一呼吸おいて彼は一喝した。
「これより眼前の敵部隊を殲滅する!殲滅して、必ず皆で生きて帰るぞ!」
応、という咆哮と共に、その場の全てが堰を切った。
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