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さの
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一次創作BL
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〈後編〉紺色彼氏とオートクチュールプラン
18000字ほど〈後編〉 一次創作BL「レンタル彼氏」物 社会人CP 眼鏡年下大型ワンコ×紺色が好きな、しっかり者だが変わっているところがある美人 ハンドルネーム上の名前は櫂人(かいと)×透萌歌(ともか)です。一日デートと後日談。
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「
……
ちょっと値が張るのを。よく考えたら
――
包丁ってよく切れなきゃ意味ないから」
地中海風バルを出て、夜風を頬に当てて、僕は櫂人を見上げて答えた。
「肉も野菜もよく切れる
――
まな板も買った
……
」
繁華街の、人が多い路地を二人でぶらぶらと歩く。バーやクラブのネオンは大人っぽい色で闇に浮かび、カラオケやゲームセンターの看板はピカピカと光っていた。夜の賑わいは、昼間ときらめきが違って、目に入るものの輪郭は光に広がって滲んで見える。
夜はちょっと肌寒い、と僕はこのニットを着てきて正解だったなと思った。
ここから、また『天越えるタワー』に向かうという選択肢もある。まだ『天越えるタワー』の営業時間内だから。
だが、この前提システムサービスのガイドライン的には、夜は遅くなってはいけない。一日コースでも基本的に二十時半でデートは終了。越えてはいけない時刻のラインは二十一時だった。
二十一時。夜の九時。
シンデレラでいうと、九時に自らの魔法を解いてしまう、魔法使い。
歩きながら、僕は腕時計と携帯で時刻を確認した。現在、もう二十時を十分過ぎている。
『天越えるタワー』に行けるか、頭の中で移動時間を計算した。
ぎりぎり行けなくはない。
本当なら、予定が「しおり」の通りにいっていたら、ここで少し夜の繁華街を散歩して、二十一時前にお別れ、だった。
櫂人が『天越えるタワー』に行きたいか、訊いてみようと横を歩いている横顔を見上げた。携帯を顔の前に、何か操作している櫂人が、視線に気づいたように、眼鏡の内からこっちに目をやる。
僕は口を開いたが、出てきたのはこの後の行き先とは別の問いだった。
「あの投稿を、読んでたの?」
「
……
読んでないと思っていたのか?」
そう言われると
……
だって、最初のメッセージは簡素な数行で、そのあとのやりとりもプロフィールを見たとも思えなかった内容だったから、てっきりルックス、ビジュアルだけだと今し方まで思っていた。
怪訝そうな表情になって答えた櫂人に、僕はさらに、なんとなく訊いた。
「
――
あれ、ウケ狙いだと思った?」
おもいがけず、声が、今日いちばん冷たく尖って響いた。
それを感じたのか、櫂人は立ち止まって、僕を見下ろし、言った。
「いや、そうは感じなかった」
それを聞いて、僕は内心、胸を撫で下ろしたというか安心した。
本気でやったことを、ジョークでも何でもないことを、妙な冗談、ウケ狙いの行為だと思われることに僕は昔、嫌な記憶があってずっとそれを引きずっていた。
片手に携帯、もう片方にまとめた荷物、という櫂人の手を横目に見ながら僕は前へ顔をやった。
海へとつながっている河川が傍に流れる、夜景が綺麗な広場まで来た。街燈が等間隔に丸く囲んでいる広場はカップルのように密着した二人が何組もいた。
河川から風が吹いてくる。
「
……
書くネタに困っている、とすら思わなかった。単なる日記だと」
櫂人はつぶやいた。
その言葉に顔を上げて、僕は目を見開いてまた何も言えず、ただ見つめた。
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