〈後編〉紺色彼氏とオートクチュールプラン

18000字ほど〈後編〉 一次創作BL「レンタル彼氏」物 社会人CP 眼鏡年下大型ワンコ×紺色が好きな、しっかり者だが変わっているところがある美人 ハンドルネーム上の名前は櫂人(かいと)×透萌歌(ともか)です。一日デートと後日談。


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 遠目からはこじんまり小さく見えたけど、というより遠目から小さい観覧車だと発見できるほどの巨大な観覧車だった。
 すぐ目の前に来てみると、そびえ立つように夜空に丸形を支える骨組みが伸びていた。
 営業時間は二十二時まで。空いていた。回転のスピードはかなりゆるやかそうで、乗り場のすぐ真正面に行くと地上に回り降りてくるゴンドラがキシキシと軋む音が聞こえてくる。
 一回の入場料というか乗車料金が安くて、それだけでいいのかと思った。
 張り紙がしてあった。七月中旬に営業を停止し、閉鎖されるそうで、思い出になる、この観覧車は来月にはついえるのかと僕は残念に思った。
 乗車チケットが青色に銀のストライプが入っていた。ファンタジーで見かける、遊園地への豪華な切符のような色合いで、僕はそれを一生とっておこうと思った。
 ゴンドラに乗りこむときに、やって来たゴンドラの動画を撮ろうと携帯をかまえた。
 櫂人はそんな僕とやって来るゴンドラを見ていた。
 すると他のゴンドラは濃い灰色なのに、僕と櫂人が乗る順番に降りてくるゴンドラは紺色で、煌びやかな金の柄が入っていた。
 乗車係の男性が手短に説明してくれる。
 これは二機のみの特別なゴンドラらしい。
 ということは、このゴンドラに乗れるのはラッキーなことなのでは、と僕は好きな紺色の特別なゴンドラに乗れるという喜びで、またはしゃいだ目線を櫂人に送った。
 撮る携帯を下ろす。うまく乗りこむことができるか少し緊張してタイミングを合わせて、と息を吸った。
 キシキシと小刻みに音が鳴って、扉が開かれる。先に櫂人が乗りこんで、僕も――なかば、抱えられるようにして、すんなりと乗ることができて、安心して、くっついて座る格好でひと息つく。
 それから、僕は席を移動した。ゴンドラが水平になるよう、重みを片寄らせないように。あらかたを窓が占める空間で、向かい合って座る。
 内部は電灯で光々としていた。
 はしゃいだ気持ちで、きっと顔が笑みを浮かべてにこにこしてしまっていると思ったが、夜景を切り取るドアの上部の窓に映った自分の顔はやはりにこにこしていた。
 ゴンドラの上昇はなめらかだったが一定とはいえなくて、たまに止まってやや亀のようなスピードになってキシキシと上がってふわりとなめらかな上昇に戻る。それが繰り返された。
 狭いゴンドラ内で、櫂人とまともに膝を突き合わせるようにすると、櫂人は足が長くて、余らせて窮屈そうで、それをよけるように斜めに座り直した。
 そうしたら何か言いたそうな表情で櫂人は唇をかすかに動かし、右手を座面についた。そして、窓へ目をやり、後ろに背をもたれた。