イヌノカニ
2026-01-21 09:14:38
31075文字
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【創作BL・未完・更新中】ぬいぐるみが安心毛布の魔法使い・ファンタジー・総受け(固定)

ファンタジー設定はフワッと。
これは長期休みになったら一日かけて、一気にアイディアをまとめたいと思います。

メモ
26/02/03から記録

26/06/08:更新
26/02/23:更新、修正
26/02/22:更新
26/02/21:修正・更新、26/02/20:修正・加筆・更新、26/02/08:加筆・更新、26/02/07:修正・加筆・更新、26/02/03:修正



前回と同じようにあの庭へやって来たが、すぐに足元に違和感を覚える。転移魔法を使用した直後、僕の手を離そうとした騎士様の手を強く握り直す。

「おい、どうした」
「バレました」
「は?」
「魔力感知機が仕掛けられています。転移魔法を使い城内に侵入した事がバレました。相手も転移魔法を使えるのであれば、魔法陣を描く時間を考えてもあと一分程度でここに来ます。騎士様!どこへ逃げれば良いか指示をください!」
「っ、とりあえず走るぞ!」

騎士様は僕を担ぐように抱えて、まっすぐ走って行き塀を軽々しく飛び越えていく。僕は、騎士様に縋り付くのに必死で、カメレオンのぬいぐるみが自分の手から離れて行ってしまった事に気が付かなかった。

その直後、受けの予想通り、先ほどまで彼らがいた場所に魔法陣が浮かび上がる。
現れたのは王子だった。
あたりを見渡しても彼の姿は見えない。あの日、呪文も唱えず魔法陣も書かずに自分の前から消えた男のことを思い出した。思わず舌打ちをしてしまう。もしかしたら彼は、とっくにこの場から離れた場所に移動したのかもしれない。

なぜ城内に現れる?一体なにが目的なのだ?

あの日会った弟の様子を見るに、兄の行動に全く気が付いていない様子だった。弟に会う事が目的ではない。

その弟も、きっと今日は兄を探している



――数日前。

「有給申請か」
「はい。騎士団長からは許可をいただきましたので、あとは殿下だけです」
「この日はイベントの日じゃないか。お前は市民からも信頼が厚いんだ、この日だってきっとお前を見ることを楽しみに来る人が大勢いるぞ。それに騎士団長だって、まさかとは思うが脅してないだろうな」

「とんでもない」

ニコリと笑い言ってのける友人兼、部下の〇〇家次男の彼は、やはり表情が読めない。
顔は瓜二つなのに、兄の方が表情が豊かで、分かりやすくて、可愛いらし……

「殿下。早く許可を」
思考を遮断するように、弟にピシャリと言われた。

「あ、あぁ」
……僕は、こんなイベント意味がないと思っているんですよ。そんな面倒なイベントがある騎士団よりも、第四、もしくは第七騎士団へ所属したいです。ぜひ、早く転団届を受理していただきたいものです」
「前にも言ったが、分かるだろ。お前は〇〇家の人間なんだ。王家に仕えることが生まれた時から決まっている。第二騎士団の所属だって譲歩した方だ」
「第一騎士団の副団長様の方が僕よりよほど忠誠心がありますよ。鞍替えしたらどうですか」
「こら、誰かに聞かれたらどうする」

笑顔を崩さずに、彼は淡々と言ってのける。
どうやら彼は機嫌が悪いらしい。

「聞かれて困る人は病に伏せているじゃないですか」

鼻で笑いながら言う彼に、前から気になっていたことを聞く。

「お前は、叔父上のことが嫌いなのか」
……。王弟殿下をどう思っているかなんて、それが好意であっても、僕にはとても恐れ多くて口にすることは出来ません」

俺がサインした書類を奪い取り「それでは失礼します」と出て行こうとする彼に慌てて声をかける。

「待ってくれ、次はどこに行く?アイツは見つかりそうなのか」
……手掛かりが掴めていたら、第四か、第七、なんて曖昧な申請をしませんよ」

彼は扉の前で騎士の礼をすると、すぐに出て行った。

やはり彼は、この前自分の兄が王宮の庭に現れたことを知らないようだった。