イヌノカニ
2026-01-21 09:14:38
31075文字
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【創作BL・未完・更新中】ぬいぐるみが安心毛布の魔法使い・ファンタジー・総受け(固定)

ファンタジー設定はフワッと。
これは長期休みになったら一日かけて、一気にアイディアをまとめたいと思います。

メモ
26/02/03から記録

26/06/08:更新
26/02/23:更新、修正
26/02/22:更新
26/02/21:修正・更新、26/02/20:修正・加筆・更新、26/02/08:加筆・更新、26/02/07:修正・加筆・更新、26/02/03:修正



◻︎様は王弟殿下という立場でありながら、現国王の補佐も務めていた。もちろんありがちな「継承権があるから国王の座を狙っているのではないか」という疑いには「私は国王の器ではないよ。兄の補佐をするくらいが丁度いいんだ」と幼い頃の僕を膝に乗せながら笑って否定していた。

忙しい方なので会う機会は年に一、二回程度。それも数分という時間で滅多になかったけれど、◻︎様は弟の他に唯一自分に優しくしてくれた人だった。きっと僕を不憫に思ったのだろう。いや、子供が不憫な思いをするのが耐えられないかも知れない。よく教会で子供たちとも遊んでいると風の噂で聞いた。

そんな◻︎様は流行り病に罹ってしまい、どうやらずっと寝たきりで過ごしているらしい。

「どうして◻︎様が……、僕にもあんなに優しかったのに」
「病ばかりは、どうしようもない。それより一刻も早く救うことを考えるんだ」
「僕なりに色々と調べて考えてみたのですが、原因不明の病となると糸口が見つからないのです」

これでも一応調べてみたのだ。しかし現在流行っている、原因不明の病となると、もちろん文献には残っていない。色々な病の知識を頭に入れて見ても、それがどんな病なのか分からないから全くのお手が上げ状態である。

「◻︎様はどんな症状が出ているのでしょうか」
「それが、医者でもないただの騎士には診察票を持ち出すことは出来なくてな。一緒に城まで来てくれないか」

目をギョッとさせた。
僕の事情を知っていて言っているのだとしたら信じられないない。

「嫌です!」



僕が食べ終わった食器を洗浄魔法を使い片付けている間、騎士様は持参した大きなカバンの中から何かを探しているようだった。

そんな騎士様に向かって僕は何度も「城に行くなんて無理です。どうにか症状を聞き出して、ここで僕に教えてください」「前回も王子にバレそうになりました」「弟にも迷惑が掛かります」
そう伝えた。

それに対して騎士様は「国王が王弟のために城の別邸を用意し療養させている。城に行くしかない」「なんで王子にバレそうになってんだ馬鹿者」「弟に迷惑かけたくなければちゃんとしろ」

と無慈悲に答え続けた。
「あっ、あったこれを着ろ」

騎士様が僕に投げてきたのは、第二騎士団の制服だった。

「まっ、待ってください。これってつまり」
「あぁ、これを着て弟のフリをして城に乗り込むぞ」

もっと無理です!という抵抗をしても聞いてもらえず、無理矢理服を脱がされて、この恐ろしい制服へ着替えさせらた。



王家が管理している騎士団は全てで8つある。
所謂エリートと言われるのは「第一騎士団」で、少数精鋭主にで王家や城内を守る。次に「第二騎士団」この国で一番栄えている城下町を主に警備しており、この二つが騎士団の中でもエリートのみが所属する事が出来る花形とされている。残りの六つの団は、国内のエリアごとに分かれており、第三〜五騎士団までは国の中間地点にある穏やかな地域で普通の騎士達が所属しており、辺境にあたる第六〜八騎士団は、荒くれ者達が多く、常に人手不足で身分関係なく大人数が所属しているらしい。

そんな騎士団の制服は基本構造は同じだが格団によってアクセントカラーが異なっている。

第一騎士団は、王族のみが持つという瞳の色と同じ青色が。第二騎士団は、国花のピンク色。他の騎士団にもそれぞれの地域の花の色が入っている。

僕に渡されたのはピンク色のラインが入った制服。
なんて恐ろしいことを考えるんだ!

「おい、どうして一番小さいサイズですらブカブカなんだ。とにかく、ちゃんとメシを食え」
「こんなんじゃ弟じゃないってすぐバレます!せめて、変身魔法を使って屈強な騎士になりたいです」
「あんな見た目と違うチグハグな喋りじゃ、その方が怪しまれるぞ。仕方ない、裾を折って……と、あとは、もう無理だな。とりあえずこのまま行くぞ」
「ま、待ってください。まさかそんな無計画で行くんですか!??」

抵抗するように騎士様の手を引っ張って言うと、ムッとした表情で「無計画とはなんだ、俺はお前が弟になりきる事計画し、それを行うために、この制服を借りてきた。もう充分に優秀な計画を遂行した。あとはお前の頑張り次第だどうにかしろ」と言った。あまりの横暴さにびっくりして空いた口が塞がらなかった。

「大丈夫だ。今日は第二騎士団は全員で城下町を巡回する、別名国民支持率向上イベントという警備強化パレードを行う日だ。そしてそれに参加するのを嫌がる副団長様は有給を申請したことを把握済みだ。城内もみんな出払っていていない、はずだ。もし誰かに遭遇しても副団長をよく知っている者には会わないし、副団長は有給を使っているから場内で遭遇しても不自然ではない。俺の計画は完璧だ、さあ転移魔法を使え」

騎士様は急かすようにカバンを背負うと、僕の手と、カメレオンのぬいぐるみの手を繋いできた。
……ぬいぐるみの手は繋がなくても良いんだけど。

ここで断っても聞き入れてくれないのは分かったので、僕は渋々、転移魔法を使う。不安はいっぱいあるけれど、◻︎様のことも心配だった。

あっという間に緑色の光に包まれて、再びあの庭へ着いた。