イヌノカニ
2026-01-21 09:14:38
31075文字
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【創作BL・未完・更新中】ぬいぐるみが安心毛布の魔法使い・ファンタジー・総受け(固定)

ファンタジー設定はフワッと。
これは長期休みになったら一日かけて、一気にアイディアをまとめたいと思います。

メモ
26/02/03から記録

26/06/08:更新
26/02/23:更新、修正
26/02/22:更新
26/02/21:修正・更新、26/02/20:修正・加筆・更新、26/02/08:加筆・更新、26/02/07:修正・加筆・更新、26/02/03:修正



◆受け目線

薬を作りながら一区切りがついたので、背伸びをする。
朝起きて寝巻きのまま薬を作る。そんな毎日をあれから数日、受けは穏やかに過ごしていた。

いつもお世話になっていた薬屋に騙されていたことも、規定外のポーションを売ってしまっていたことも、騎士に出会ったことも、王子と出会ってしまったことも、全て悪い夢だったんじゃないかと思うほどだった。

受けはここ数日家から一歩も外に出ていない。
生計を立てるためとは言ったが、薬草が森の中で手に入るし、食べなくても栄養が得られる薬も、火といったエネルギーも清潔な水も自分の魔法でどうにかなる。

ポーションを売って得ていた金は、調合に必要な道具を買い揃える他は全てぬいぐるみを買い集めていた。今はもうこんなにあるのだから大丈夫だ。

「大丈夫なんだけれど、◻︎様のことはさすがに外に行かないと分からないよなー。どうしよう……

◻︎様のことが気になり、買い集めた本からひたすら情報を集めていたが、本だけの収集では現在流行っている原因不明の病について知るには限界がある。やはり外に出て調査するのが一番かもしれない。

カメレオンのぬいぐるみを持ち、鏡の前へ行き変身魔法を使ってみる。
ポーションを売るときに使っていた姿は気持ち悪いと騎士様に言われてしまったので、今度街へ出るときように新しい姿を考えようと思ったのだ。

指をパッチンと鳴らすと、筋肉ムキムキのスキンヘッドの男の姿に変わった。
「あっ!これじゃダメだ。顔が隠れない」

いくら顔を変えていると言えど、顔は隠してないと落ち着かない。これはダメだ。

もう一度パチンと指を鳴らす。
今度は筋肉がムキムキのロン毛の男へ。
「かっ、かっこいい……!」

ずっと憧れていた、革ジャンの袖部分を破いて着ても良いかも知れない。
いや待てよ。今までやった事がなかったが、実在する人物になってみるのも良いかも知れない。

そう例えば……
パチンと指を鳴らすと、今度は先日会ったあの騎士様、第一騎士団副団長の姿へと変わった。

「うん。かっこいい!」
「俺がカッコいいのは当たり前だが、格好を考えろ!」

後ろからバシッと引っ叩かれた。

「痛いです」
「俺の姿でそんな情けない喋り方をするな!第一、なんだその格好!」

そう言われて鏡を確認し直す。
いつもの寝巻きの、大きなブラウスで胸ポケットには自分で作った猫のワッペンがついたものだった。

「あっ、寝巻きのままでした」
「寝巻きだと!?なぜ下を履かない!俺の姿でそんな格好二度とするな!胸筋でシャツが押し上げられてパンツが見えそうじゃないか!」

自分の姿の時はブカブカのブラウスも、彼の姿になるとキツくなっていることに僕はようやく気付いて、顔を真っ赤にして慌てて前を隠しながら元の姿に戻った。

「俺の姿でそんなことをするなっ!」

再び怒られた。

騎士様は文句を言いながら、僕に着替えて顔を洗ってこいと言い、キッチンで魔獣を捌きながら、この前来た時から何も変わっていない、メシはちゃんと食ったのか、とかブツブツ文句を言っていた。

僕は寝巻きの上からいつもの黒いマントを羽織り、顔だけと言わず全身の洗浄効果がある魔法薬を浴びて身なりを整えた。

「お前、もしかしてそのマントしか服がないのか?」
「はい」

騎士様はため息を吐いて、テーブルに置かれていた本の山を退かしながら「まあいい、とりあえずメシを食うぞ」と言った。

「いただきます」と前と同じように、クマの形をしたソファに二人で座り、声を揃えて言う。今日は先日と同じ魔獣の肉をトマトで煮たものだった。

「騎士様、さすがです。この料理も、とても美味しいです」
「まあ当然だな。俺はどこかのぼっちゃまと違って何があっても良いように野営も魔獣との戦いにも慣れている。野営でこんなに美味いメシを作れるのを俺ぐらいだ」
「すごいです!騎士様はすごい方なんですね」

あたりまえだろう。と騎士様は嬉しそうに鼻を高くして言っていたが、急に「そうではない!」と言った。

「俺はお前と呑気に談笑しながらメシを食うために、ここまで来た訳ではない。◻︎様の件で来たのだ」