美結
2026-01-04 11:46:52
33619文字
Public ロール
 

🐯👒原作軸SSまとめ

2023年から2025年までのロール原作軸SSをまとめました!



『朝四時、ランデブー』

「トラ男、元気ねェのか?」
 そう声を掛けて傍らからおれの横顔を覗き込んでくる麦わら屋に、おれは小さく白い息を吐いた。
「元気がないわけじゃねェよ、時間帯の問題だ」
 現在の時刻は朝の四時過ぎ。二人で歩く街中にも、流石に人々の姿はない。おれと麦わら屋は一夜を共に過ごしたホテルを出て、散策している最中だった。
「今日は絶好のチャンスだって、教えてくれたおばちゃんも言ってただろ」
「だとしても眠い日は眠いんだよ」
 さすがに昨夜はがっつき過ぎたと思っていたのだが、麦わら屋のタフさは本物のようだった。逆におれの方が眠い。
 街中は静かなもので、堂々と歩ける事には感謝しているが。小鳥の囀りが夜明けを知らせようとしている程度だ。
「もうすぐ丘の上だし、眠気なんて吹き飛んじまうだろ!」
「それくらいの絶景を期待する」
 そう。こんな時間に散策を始めた理由は、昨日麦わら屋が街の人間から聞いた絶景を眺める為だ。でなければ、起き上がろうとする麦わら屋を腕の中に閉じ込めて離さなかった。
 繋いだ手に軽く力を込めると、麦わら屋も笑って握り返してくる。
 目的の丘の上まではあと少しだ。