美結
2026-01-04 11:46:52
33619文字
Public ロール
 

🐯👒原作軸SSまとめ

2023年から2025年までのロール原作軸SSをまとめました!



『甘い時間を君と』

 本当に小さなチョコレートだとルフィは箱の中身を見つめながら思った。
 「物足りねェか?」
 「んー、確かに物足りねェな」
 買ってきた本人であるローは満足そうな表情をしているので、多分このチョコレートは食べることに重きを置いたものではないのだろう。
 だって、本当に小さい。一口サイズよりも更に小さいのだ。一欠片とまではいかないが。四角形の茶色と白が重なった断面を見る。綺麗だと思った。
 「麦わら屋」
 呼びかけてきたローがチョコレートを口に含んだ。手招きされて、少し距離を詰めるともう一つのチョコレートをローの指先が捉える。差し出されたそれに、ルフィは迷わず口を開けた。入ってきたチョコレートは小さいから、噛み砕いたらすぐになくなってしまう。だから、舐めてみることにした。暫く二人で無言になって、チョコレートの味を楽しむ。
 「……どうだった?」
 「美味かった!トラ男も同じ味のやつ、食ったのか?」
 「いいや、おれのとお前のは違う味だ」
 「そうなのか!?」
 そう聞くと食べてみたくなるが、ローが先程選んだチョコレートと同じものはもう見当たらない。ルフィが選んだものも同じくだ。一種類ずつしか入っていないのかと落胆しかけた時だった。ローの手が、ルフィの顎を軽く掬い上げたのは。
 「トラ男?」
 「味わう方法ならある」
 「えっ」
 本当か!?と続くはずだったルフィの声は、ローの唇に飲み込まれた。不意打ちでのキスはたまにあるが、チョコレートの味がするキスは初めてかもしれない。一瞬見開いた目を閉じて、ルフィはいつもよりも甘いキスを受け入れた。