美結
2026-01-04 11:46:52
33619文字
Public ロール
 

🐯👒原作軸SSまとめ

2023年から2025年までのロール原作軸SSをまとめました!



『君とならずっと』

 世界はあの日、確かに変わった。

 ルフィが海賊王になった翌年、ローもまた四皇の座へと躍り出て半年の月日が流れた。立場が変われば見える景色も、人の反応も変わる。追う側から追われる側になった世界。ラフテルに到達し、数奇な運命の意味を紐解いたローとは違い、ルフィ達麦わらの一味は今も航海を続けている。

 だから、会うのは実に半年ぶりだった。
 ローとハートの海賊団の面々が拠点にしている島に、突如やって来た見覚えのある海賊船。まだ連絡もしていなかったというのに、何故見つかったのかと不思議がる船員達を落ち着かせるのには苦労した。ローだけは、その意味を知っていたから。

「トラ男!!」
 船員達を落ち着かせてから即、シャンブルズを発動してサニー号の甲板に降り立ったローをルフィは満面の笑みで出迎えた。少しだけ成長したルフィの顔つきに、ローは双眸を細めて口を開く。
「遅ェ」
「ししし。悪かった、色々あってよ」
 色々。そのいくつかは新聞や情報網をツテにローも把握している。仲間達の夢を叶える為に航海をし続けているルフィが、嬉しそうに笑っているのは、夢が着実に叶うところへと近づいているからだ。
 雲一つない青空の下。綺麗な海が見える場所で再会できたのは嬉しい限りだが、半年も会えなかった分の埋め合わせはきっちりしてもらわねばならない。
「お前のことだから、一年くらいは平気で待たせるかと思っていた」
「それは流石にしねェぞ。おれだってトラ男には会いたかったんだからよ」
 心外だ、とばかりに眉を潜めたルフィの素直さを見て、ローは少しだけ目を瞠った。
「てっきり冒険でそれどころじゃなかったのかと思っていたんだが」
「冒険は楽しかったぞ!でも、トラ男のこともちゃんと考えてた」
 否定はしないながらもローの事を口にするルフィの表情が、真剣なものになる。ローを見つめる黒い瞳には、何か強い決意のようなものが滲んでいた。
「何を考えていたってんだ」
 続きを促すローに、ルフィは麦わら帽子を片手で押さえながら告げる。
「結婚しようぜ、トラ男」
……あァ!?」
 何を言われるのかと、一瞬身構えたローはルフィの口から出た信じられない言葉に思わず声を荒げた。その直後、適度に騒がしかったサニー号の甲板が静まり返っていることに気付く。
「なんでキレてんだよ、トラ男」
 ルフィだけがいつもの調子で首を傾げていて、ローは握り拳を震わせながら深く息を吐き出した。
「キレてねェ。キレてはいねェが、一体どういう風の吹き回しだ?麦わら屋」
 結婚はしねェ。それがルフィの決めた事ならばと、恋人同士の枠に収まった事でローは納得しようとしていた。恋人同士になったのは、ルフィを縛りたいからではない。
 ローもまた自由を意識しているからこそ、ルフィの生き方に惹かれて、放つ光に照らされて、隣を歩きたいと願ったのだ。勿論、この過酷な海で別々の海賊団を率いる者同士だ。次も確実に会える保証はない。確かな繋がりを得たいと、全く考えなかったかと言われれば嘘にはなる。
「おれは海賊王にもなれたし、トラ男も答えを見つけたんだろ」
 驚きと動揺を隠せないローに対し、ルフィの答えはシンプルだった。
「ッ、けど、お前はまだ」
「うん、航海の途中だ。だからずっと一緒に居てやることはできねェけどさ」
 でも、と伸びてきたルフィの手がローの手を取る。指先を見つめ、静かに笑うルフィのいつもとは違う満たされた表情にローは息を呑んだ。
「でも、トラ男と一緒だって思いてェんだ。どんな時も」
 ダメか?そう呟いて、ローを見上げるルフィの瞳が僅かに揺れている。
……っ、ダ、メなわけ、ねェだろ!」
 言い放つと同時に取られた手を握り返してルフィの身体を引き寄せたローは、そのまま抱き締める。
「ししし!じゃあ、決まりだな!」
 腕の中で嬉しそうに笑い、そう言ったルフィにローは抱き締める力を強めながら呟いた。

「お前には敵わねェよ、麦わら屋」