美結
2026-01-04 11:46:52
33619文字
Public ロール
 

🐯👒原作軸SSまとめ

2023年から2025年までのロール原作軸SSをまとめました!



『君のいない春に眠る』

 ここは新世界のとある海域に位置する春島だ。年中穏やかな気候が続くこの島におれが住み着いたのは、数年前の話になる。
 ハートの海賊団は目的達成と同時に解散式を行ったが、今でも船員達との連絡は取れている。皆、次の目的や夢に向かって動いている様子をおれは誇らしく思っていた。
 そろそろ来る頃だろうと、おれはベッドから出て、身支度を整える。
 海賊を辞め、医者になったとはいっても能力は使えるし身体を鈍らせるほど腑抜けてはいない。この島に居を構えて暮らせているのも、そのおかげだ。
 今日は仕事の日ではないのでラフな格好をし、いつもの帽子を被る。鬼哭を手に取ったその時、よく知っている気配を伴ったあいつの声が耳に届いた。
「トラ男〜!会いに来たぞ!」
「来たか、海賊王」
 そう。海賊王となった今も、仲間達の夢を叶える為に航海を続けている麦わら屋は、こうして不定期でおれのいるこの春島を訪ねてくる。
 玄関に向かい、ドアを開けてやると背中に大きなリュックを背負った麦わら屋が立っていた。少しだけ大人びたところ以外は変わらない恋人に、おれは緩く口角を持ち上げた。
「久しぶりだなァ、トラ男!今日こそ絶対来てもらうからな」
「お前らのしつこさには負けた」
 意気込む麦わら屋にそう告げたおれは、シャンブルズで用意しておいた荷物を移動させてくる。その様子に麦わら屋の目が輝いた。
「!!じゃあ、来てくれるのか!?」
「ああ。なってやるよ、海賊王の船員に」