由崎
2025-05-12 00:38:56
21437文字
Public
 

永遠よりも長く、君を待つ

英ベスツリーを大幅に加筆・改稿しています
仏ジャン匂わせ有

※5/19完成しました
誤字脱字あるかも


「境界線の向こうに」

……ありがとう。でも、ごめんな」

ベスのまっすぐな言葉にイングランドは目を伏せた。
低く、押し殺したような声で続ける。

「これ以上、俺たちの境界を越えちゃいけないんだ」

「境界……?」

「俺たちは、“国”として生きてる。
だから、近くにいる人間の“時間”を歪めてしまうんだ」

ベスは息を呑んだ。

「お前たちの時間の流れを、俺たちはゆっくりにしてしまう。老いが遅くなり、周囲と感覚がズレて、誰とも噛み合わなくなる」

イングランドの瞳は遠くを見つめていた。

……それを、俺は何度も見てきた。愛した人たちが取り残され、壊れていく姿を」

その声は静かすぎて、逆に痛かった。

「俺たちは、時間の流れに鈍感なんだ。人間の早すぎる時間を、ちゃんと感じ取れない。最後に、狂ったその姿を見て――やっと、壊したんだって気づくんだ」

ベスの胸の奥がぎゅっと締めつけられた。

この人は、どれほどの別れを、後悔を、
どれほど長い時を、たったひとりで背負ってきたのだろう。

そして、その孤独に名前をつけることすらできなかったのだ。