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由崎
2025-05-12 00:38:56
21437文字
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永遠よりも長く、君を待つ
英ベスツリーを大幅に加筆・改稿しています
仏ジャン匂わせ有
※5/19完成しました
誤字脱字あるかも
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「初夏の恋心」
ロンドンの初夏は、どこか気まぐれだった。
晴れた空にやさしい風が吹き、カフェの白いテーブルクロスをやわらかく揺らしている。
ベスは久しぶりに姉のメアリーと再会していた。
数か月ぶりの姉妹の時間。
カフェのテラス席で、グリーンサラダと紅茶を前に自然と近況報告から町の噂話へと話題が移っていく。
ふと、ベスはカップを置いて話題を変えた。
「そういえば、隣に住んでる兄弟たち
……
ちょっと不思議なのよ」
メアリーが興味深そうに首を傾げる。
ベスは続けた。
「みんな兄弟で暮らしててね。ちょっと変わってるけど、すごく仲がいいの。とくに一番下の人、アーサーさんっていうんだけど私より三つか四つくらい年上に見えるかな」
言いながら、ベスは口元に手を添え、考えるように視線を落とした。
「
……
なんというか、寂しそうな人なの」
その呟きを聞いて、メアリーの唇がいたずらっぽく持ち上がる。
「やぁね、あなた
……
そのアーサーさん、恋してるのね!」
「こ、恋!?」
ベスの手が止まり、フォークを握ったまま目を丸くして姉を見る。
恋、考えたこともなかった。
ただ、気になって。目で追ってしまって。あの指輪のことも、あの瞳の奥にある誰かを想っているような寂しさも、ずっと頭から離れなかった。
「
……
違うと思うけど
……
でも、どうなんだろ
……
?」
頬がわずかに熱くなり、ベスは視線をそらす。
「うふふっ」
メアリーは笑いながら、ワイングラスをくるりと回した。
「あなたって、生真面目だから。恋とか、そういうの全部あと回しにしちゃうタイプよね」
その言葉にベスは苦笑いを浮かべてうつむいた。
「恋
……
かぁ
……
」
小さくつぶやいた声は自分でも驚くほど弱かった。
「私と年も近いし
……
でも、彼は社会人なのよ。平日はロンドンで働いてて
……
」
それは不安というより、どこか希望とも違う、ふとこぼれた本音だった。
姉のメアリーは、そんなベスをやさしく、少し姉らしく見つめながら微笑んでいた。
ロンドンの初夏の午後。
小さなカフェの片隅で交わされた、姉妹だけの小さな秘密の会話だった。
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