3話✧燼械

✧執筆協力
ふかひれ。様

✧スチル協力
米2ろう様ふかひれ。様NoE様



本を読み読み進めて数時間。

「__よし、これで全てだ。出版はやはりアメリカか」
「アメリカで出版された本がここにこれの持ち主は自国の戦争に反対していたんだろうか?」
「少なくとも、賛成派ではなかったのだろう。」

グラディエーターとカラベラが本の内容について話していると核シェルターの扉から外を見ていたラートと樊凌が戻ってきた。

「全て読み終わったのか?」
「好工作〜」
「ほら、フィリップ!本の内容を説明するから起きろ!」

グラディエーターは反対側の椅子に座ってウトウトしていたフィリップの肩を揺らす。彼はまだ眠いと言いたげに目を擦りながらも椅子に座り直した。

「簡単に私達だけに関わる内容だけを伝えると、今回の戦争は資源と土地の奪い合いだそうだ。私達が今いる国は資源はあるものの技術の発展が遅れており、敵国には技術があるものの資源が枯渇している。敵国がこの国に攻め入ったのが原因で世界大戦にまで発展したそうだ。」
「頻繁に落とされる核兵器は膨大なエネルギーで電波障害とやらを起こし、こちらの国の主力であるドローンを無効化しているらしい。この時代はほぼ全ての物がでじたる化、というのをしているらしくこの状況になれば国全体に大きな悪影響を及ぼすそうだ。あとはまぁ、早く降参しないともっとデカイのを落とすぞ、という牽制も含まれていそうだな
「なるほどなぁ〜それにしてもその資源っちゅうのは書いてあるん?」
「あぁ、原油だそうだ。ドローンの素材にも原油が使われているらしく、だからこそあそこまで量産ができるのだと書かれている。」

カラベラフィルムとグラディエーターが説明をした本の内容を聞きラートはこれからの二国の動きを考えていた。敵の主力を無効化したなら、次は何をするだろうか──

「なるほどならばドローンを無効化した今、敵国は攻め込みに来るのではないか?」

ラートの言葉にグラディエーター、カラベラフィルムは頷く。

「攻めるとすれば、原油の採掘場だろう。」

採掘場、という言葉にフィリップはふと先程見つけたものを思い出す。彼はポケットから地図を取り出した。

「さっきこの地図を見つけて沼が書かれていたので時間があれば魔女退治に行こうかと持ってきたんですけど、もしかしてこれだったりします?なんか、ツルハシみたいなもの書かれてるし

フィリップが指さす場所にはツルハシにも見えるイラストが黒い沼の隣に書かれている。先程の本を読んだカラベラはこの2つのイラストが原油と採掘機を表しているのだと気付いた。
自分達が探索をした学校や家の場所を頼りに今の場所を探る。

「今俺たちがいるのはここ。そして採掘場は核兵器が落とされた場所とは反対側になるのか。」
「うむ世界地図を確認したところ敵国も採掘場側にある。となればなるべく自国や採掘場への被害を抑えるために反対側に落としたのだろう。」

グラディエーターは採掘場の位置を確信し立ち上がった。そして核シェルターの出口へと歩く。

「場所まで分かればあとは向かうだけだ!歴史を見るにこの二国の争いの悪化を防げばいいんだろう!」
「攻めてきた敵国を片付けたらええんよな?せやったらきっと相手も油断しとるやろうしこの作戦が上手くいったら一気に勝利に近づくんやったら全精力を注ぎ込んで来るやろうなぁ」

「やられたまま帰るのも癪だからな。」

意気込むグラディエーターに続き樊凌とラートも立ち上がる。しかしグラディエーターは2人に向かって首を横に振った。

「向かう先の状況がわかっているなら1人で十分だ。俺の能力なら敵を一掃するのに向いている。手負いの者が多い以上、無茶はさせられない。」
「え?せやけどもし空を飛ぶ、ほら、ドローンっちゅうやつみたいなんがおったらどうするん?それに怪我してないんやったらボクの方が

無茶はさせられないと言いながら無茶をしようとするグラディエーターを樊凌は必死に止めようと肩を掴む。しかしグラディエーターは既に行くと決めたようだった。
彼の表情に樊凌は言葉を失う。どれだけ言っても彼はきっと辞めようとはしないだろう。しかしここで彼1人に行かせてもしもの事があれば

「だからこそ樊凌にはここを任せたい。ここが必ずしも安全とは限らないからな。」

グラディエーターの提案はあまりにも彼への負担と危険が大きすぎる。彼の話はどうしても1人で行きたいと言っているようにしか聞こえなかった。
2人のやり取りにラートはため息をつく。そして必死に引き留めようとする樊凌の肩を叩き静かにそれを止めた。樊凌はどうして、と言わんばかりの表情をしている。

「何を言ったってグラがこうなった以上止められないのは貴殿もわかるだろう。」
「せやけど

ラートに止められ、樊凌はそっと肩から手を離した。グラディエーターはにこりと笑い核シェルターの扉を開く。

「あとはよろしく頼む!」

そうとだけ言い残し彼は颯爽と行ってしまった。
ラートは彼が開けっ放しにした扉を閉じようとシェルターから顔を出す。ふと空を見上げると、先ほどまで降っていた雨がいつの間にか雪に変わっていた。
前方を見るともう既に小さくなってしまった青いマントがヒラヒラと揺れている。ラートはその背を見送り扉を閉めた。