3話✧燼械

✧執筆協力
ふかひれ。様

✧スチル協力
米2ろう様ふかひれ。様NoE様



コンマ1秒で形勢が変わるような熱い闘い。その闘いは既に開始から数時間が経過していた。
グラディエーター、樊凌、共に全身血だらけで逆に怪我をしていない場所を探す方が難しいほどだ。人並み外れた力を持つ械だとしても既に限界が近いことを2人とも察していた。
今からの数秒で全てが決まる。

グラディエーターが距離を詰める、そう観客が思った時、予想外にも樊凌がその距離を縮めた。

樊凌はこの戦いで”グラディエーターは詰めるのは得意だが、詰められるのに慣れていない”ということに気が付いた。

それもそのはず。グラディエーターは械の中で最も俊敏さに長けている。体力や攻撃力さえも。

しかし、樊凌だけは彼と互角の俊敏さを持っていた。

不意に懐に入り込まれたグラディエーターは彼の小刀を避けきれず、腹に刀が突き刺さる。

樊凌はこの期を逃すまいと剣に持ち替え怯んでいる彼を切り上げた。

次の瞬間、グラディエーターは樊凌の切り上げた剣を避け隙のできた懐に入り込む。そして日本刀を鞘から抜き出すように、グラディウスを振るった。本来は隙ができるその瞬間、即座に剣の向きを変えもう一打を与える。

「なっ!」

その一打は樊凌の右腕に大きな傷を負わせた。力が入らなくなった腕から剣が落ち、グラディエーターが樊凌の心臓を貫く。

そしてグラディウスを引き抜けば樊凌は膝から崩れ落ちてしまった。

「っ、あーあボクの負けやな

樊凌はそのまま仰向けになる。動きを止めた瞬間、今まで無理をして体を動かしていた反動か一切体が動かなくなった。視界がぼやけてグラディエーターの顔も良く見えない。しかし、青い空にキラキラと輝く金色の髪のシルエットだけは樊凌の目に写った。

「なぁ、さっきの技、初めてボクと戦った時は知らんかった技やろ?どこで学んだん?」
「あぁ、いい技だろう。日本の海軍で使われてきた抜刀術というものだ。」



その言葉に樊凌は目を見開き、そして目を潤ませて笑う。

「そんなん勝てるわけないやんグラちゃんと小白の合わせ技なんかあーあボクも鍛練毎日参加してたら良かったわ」

樊凌の涙声をかき消すように試合終了のホルンが鳴り響く。樊凌は潤んだ目を閉じて最期のトドメが刺されるのを待った。