3話✧燼械

✧執筆協力
ふかひれ。様

✧スチル協力
米2ろう様ふかひれ。様NoE様



それぞれのグループの探索が一段落した頃、空が青白く照らされ始めた。夜明けが近いことに気付いた械達は初めに避難した建物へと向かう。

「なにか収穫はあったか?」
「ボクたちは〜コレ!なーんか学校で見つけた新聞みたいなヤツ!」

グラディエーターとシアノ、樊凌とカラベラフィルムは先に集合しており情報交換を行っていた。既に朝日は昇り、周囲を明るく照らしている。

「翻訳したところ、ドローンを見つけた際の避難方法が書かれていた。私たちでも簡単に読み取れたあたり、子供向けに書かれたものだろう。」
「人の姿と体温に反応するらしぃから地面に座り込んだらえぇらしいで?あとはコンクリート作りの建物に逃げるとか
「量産に力を入れているのか、少し性能の落ちたAI、というものを搭載しているそうだ。」

カラベラフィルムのAIという言葉にシアノはなるほどと頷く。

「自分達はいくつかの一軒家を回りましたがどこにも核シェルターがありました。中に入ってみたらご丁寧に避難のタイミングや方法なんかも壁に貼られていて
「説明図を見たところ、やはり核兵器が落とされた時の対処法についてだった。中の非常食や荒れ具合から住人達は比較的最近に核シェルターに避難し、出ていったと予想がつく。」
「扉の上には瓦礫がのっていたのに中に死体がなかったし多分住人達が1度避難し出ていってからまた核兵器が落とされたんじゃないかなと
「つまりは頻繁に攻撃が行われていたと?」
「はい。目的までは分かりませんが

ふたつのグループの話をまとめると、この時代のこの場所ではドローン兵器と核兵器が頻繁に使われていたことが分かった。とはいえ2つの繋がりまでは分からない。

「カラベラフィルムさーーん!!ちょっとこれどうにかしてくださーーい!!!」

4人が話し合っていると突然聞きなれた声が聞こえた。そちらを向くとルフレ、ラート、フィリップが何かから逃げるようにこちらに走ってきている。彼らの後ろに目を凝らせば何台ものドローンが彼らを追いかけていた。シアノはその光景にギョッと目を丸くする。



「!?ちょっとどれだけ引き連れてるんですか!?」

指名で対応を迫られたカラベラフィルムは慌てて水を操りドローン達を真っ二つにした。全てのドローンが落ちたのを確認し、ルフレ達は胸を撫で下ろす。

「っはぁはぁ全く、散々すぎるあれもこれも全部魔女のせいだ
「俺の能力じゃ対応しきれない数に追われてしまった」
「それにしても限度というのがあるでしょう

呆れたようにつぶやくシアノ。樊凌とグラディエーターは彼らの慌て具合がなんとも面白かったのか笑いをこぼしている。ふいにカラベラフィルムはラートの手に握られた本に気付いた。

「それは洋書か?表紙を見るに英語で書かれているようだが

「あぁこれか。これを貴殿らに翻訳してもらおうと思ってな。」

そう言ってラートはその本をカラベラフィルムに渡そうとした。

その瞬間、朝日の反対側から突如として眩い光が溢れる。目の前が白一色に塗りつぶされるほどの強烈な輝き。

械達は咄嗟に目をつぶりその光が消えるのを待った。

「ま〜た新しい武器かなんか?」

目を開けた樊凌が心配そうに声を漏らす。

この時代、この場所で目の前が真っ白になるほどの光シアノは酷く嫌な予感がした。それはグラディエーターも同じだったのかシアノと目を合わせる。

「例の攻撃か。俺達はどうしたらいい?」

「ひとまず建物の影で1箇所に集まってください。防ぎきる事は無理でしょうが多少の衝撃は自分の能力であとはカラベラに水のカーテンのようなものを作ってもらえば死ぬことはないはずです」
「あぁわかった!お前達聞こえたか!建物の背後、防御力の低いものは中心に!!」

シアノの言葉をグラディエーターが簡略化し瞬時に伝える。械は彼の指示通りに建物の影に隠れた。樊凌、フィリップは中央でしゃがみ、その回りをシアノ、ルフレ、グラディエーター、ラートが囲むように集まる。

「カフィ、時辰儀を念の為樊凌に渡しといてください。詳しい事は時間が無いので省きますが無理はしないように。他の人もなるべく息を止めといてください」
「了知した。リンリン殿、こちらを頼む。」
「好的。ボクに任せて」

樊凌はカラベラフィルムから時辰儀を受け取りそれを袖に隠す。時辰儀が安全な場所に行ったのを確認したシアノは能力で自分達を八角形の部屋で囲んだ。カラベラフィルムは先程言われた通り、光の方向に水のカーテンを作る。

あとはいつ爆風が来てもおかしくない。誰もが固唾を呑んでその時を感じ取っていた。突然、鼓膜を破るような轟音が街に轟く。

次の瞬間、熱を含んだ爆風が街を飲み込み、わずかに残っていた建物の残骸さえも無力に吹き飛ばしていく。自分たちを守っていた壁も、気づけばほとんどが吹き飛ばされていた。飛んできた破片がDreamBoxの壁を打ちつけ、何本ものヒビを刻む。狭い部屋でその衝突音が鳴り響き、耳を塞いでもその音は止まらなかった。

誰もが必死に耐えようとしていたその時、先頭に立つシアノの目に大きな破片が飛んで来るのが見えた。

「あっ」

それは鉄筋が突き出たコンクリートの塊。その鉄筋は壁を貫きシアノの右眼をも貫く。彼はその場に崩れ落ち、発動者を失ったDreamBoxは霧のように消え去った。

倒れたシアノを樊凌が咄嗟に支える。

カラベラフィルムが倒れた親友に声をかけようとした瞬間、突然、熱風が吹き荒れた。先程まで壁によって防がれてるいたその風は、水のカーテンを次々に蒸発させ、カラベラフィルムをみるみる小さくしていく。二つの盾が失われ、熱風と破片が容赦なく械たちを直撃した。

「ッッ!最悪

回転しながら高速で飛来した金属片がルフレの右腕を切り落とした。

小さな破片が頬や腕、足にかすり、無数の傷を作り出す。さらに、熱風が服を焼き、触れた部分に激しい火傷を与える。

たった数十秒。しかしその数十秒が、全てを奪っていった。爆風がようやく収まり、街に静寂が戻ったその瞬間、カラベラフィルム、ルフレ、シアノは戦闘不能に陥っていた。

樊凌がシアノを揺さぶるが、反応はない。傷口を見れば、鉄筋は眼球を越え、脳にまで達していた。カラベラフィルムは手のひらサイズに縮んだ上、放射能の影響か全身が溶けてほとんど形を保てていない。ルフレは右腕を失っていたが意識はまだ
残っていた。

ひとまずどこかに避難しなければとラートはあたりを見渡す。その時、地面に取っ手がついていることに気付いた。

それに急いで駆け寄り核シェルターの扉を開く。

「こっちだ!!!ここに避難するぞ!」