3話✧燼械

✧執筆協力
ふかひれ。様

✧スチル協力
米2ろう様ふかひれ。様NoE様



場面は現在に戻る。

会場の視線を独り占めしていた樊凌の周りは気付けば死体で埋め尽くされていた。まだ息をしている者を見つければ、樊凌は肉を削ぎ徐々に殺していく。しかし弱りきった人間はすぐに死んでしまい樊凌はつまらなさそうな顔をした。
そして闘技場に立っているもの、生きている者は樊凌だけとなった。

門が開き旗があげられたその瞬間、観客席を駆け下り闘技場に1人の男が翔び降りる。
跳ぶのと同時に脱ぎ捨てたマントが空に舞った。



「樊凌!!本気の戦いをしようじゃないか!!」
「あはっ、やっとグラちゃん降りてきてくれた。ずぅ〜っと待っとったんやで?」

樊凌とグラディエーターは楽しそうに笑みを浮かべる。それは今から仲間同士殺し合いをするとは思えないほど、眩しい笑みであった。

処刑から剣闘士同士の戦いに試合内容が代わり、一度綺麗に闘技場は整えられた。

グラディエーターと樊凌はそれぞれの門の外でこの試合が始まる瞬間を待つ。すると門が開き、戦うに相応しい闘技場が目の前に広がる。

闘技場内に踏み込めばドッと歓声が湧き上がった。それぞれが中央まで進み、2人揃って闘技場を1周する。

グラディエーターは本職の剣闘士さながら、観客席に手を振っていた。樊凌はその横をフラフラと歩いていく。

「なぁグラちゃん〜?これやる必要あるん〜?はよ戦おうや〜」
「はは!これは試合のお決まりだからな。もう少しだけ付き合ってくれ」

そして最後に皇帝席の前で2人は止まった。

『Ave, Caesar! Morituri te salutant.』

グラディエーターは皇帝の前で敬礼をし、闘技場に響き渡るような声で挨拶をした。
ここまで終わればいよいよ試合が始まる。
この闘技場は、最後の一人になるまで終わらない。
グラディエーターと樊凌はそれぞれの門の前に立った。
白い布が闘技場に落とされる。
それを合図に試合の開始を告げる高らかなホルンの音が鳴り響いた。それに続いて白い旗が上げられる。

その瞬間──両者は互いの愛剣を生み出し一瞬でその間合いを詰めた。

ガチン!!!っと剣を交える音が響く。

同時にその音をかき消すほどの歓声が上がった。既に観客達はみな立ち上がり食い入るように2人の試合を観戦している。

樊凌は片方の刀で隙を狙おうとするが、それに気付いたグラディエーターは受け止めていた剣でもう片方の刀を流し隙を狙おうとしていた刀を弾く。
そして次は弾いた反動を使い樊凌を突く。
しかし両者の実力は互角。樊凌はグラディエーターが剣を突くよりも早く一歩後ろに下がっていた。
一歩後退した樊凌をグラディエーターは追撃する。彼の剣術は大振りながら隙が無い。
樊凌は彼の攻撃を交わし隙を探した。

「ははっ!!樊凌!お前もまだまだだな!!」

初撃は自分が貰った、そう確信したグラディエーターは笑みを零す。樊凌の後ろには気付けば壁が迫っていたのだ。

「っあは、こんなんじゃぁ負けんよ?」

挑発的に笑った樊凌はグラディエーターが切り上げた剣に足を乗せ軽々と飛び上がった。そして彼の背中を一瞬で作り上げた中国剣で突き刺そうとする。しかしグラディエーターは咄嗟にそれを受け止めた。

「ほら、これで形勢逆転やで?」
「おぉ、これは困ったとでも俺様が言うと思ったか!」

剣を受け止めたままグラディエーターは思いっきり剣を振るう。樊凌は彼の力に負け数メートル先まで飛ばされた。着地したのもつかの間すぐにグラディエーターは間合いを詰めてくる。また剣を交わしたその時、互いの目があった。

「なぁグラちゃん?今どんな気持ち?」

そう問いかける樊凌にグラディエーターは満面の笑みで答える。

「あぁ!!!燃えるように熱いぞ!!!ずっと求めていた熱さだ!!!だが樊凌!!!お前ならまだ熱くできるだろう!!」
「っあは、当然」

そんな彼に樊凌は嬉しそうに微笑んだ。