さもゆ
2024-11-16 22:21:28
45032文字
Public BF
 

【BF腐】ツイログ

ツイッターまとめ!女体化とか学パロとか暗かったりとかもあるから地雷原です!
最初の1ページだけ月英。あとはA英、CPなし。

2020.4.4 たまごのお粥pixiv投稿作品


(モブ視点。Aと英が大学生パロ。こういう大学生いるな~って眺めたい方向け)

コンビニ→床屋→家




 人を見ずに歩く癖がついているせいか、たとえ友人が前から歩いてきても声をかけられないと気づかない。ひどいときは、周りの音も聞いていないことがあるから、本当に目の前に来て手でも振ってくれなきゃ「あっ」とならない。きっと、そんなのは、自分だけじゃないと思うんだけれども。
 それでも、ごくたまに、自分の世界を楽しんでぼんやりしながら歩いていると、ふと目について離れないものと出会うときがある。
 それはスーパーからの帰り道のことだった。
 交差点に差し掛かると、赤信号待ちで会話している男子二人の会話が耳に入り込んできたのだ。
「もうすぐ青だね。じゃ、僕こっちだから」
「ああ。また明日な」
「うん。気をつけて帰れよ」
「お前もな」
 信号が青に変わる。すると、そばをひとりの黒髪の男の子が通って行った。「こっち」を行く「僕」の方だろうと意識していない意識で思い、そのままなんとなく彼が信号を渡るのを見守ってしまいそうになって、慌てて後に続く。そして、「あっ」となった。私を通り越し、彼の腕を掴む金髪の男の子が現れたからだ。その時点で、私の、人を見ずに歩く癖が彼らに集中された。端的に言えば、とても目を引かれた。
「わっ何? びっくりした」
 黒髪の子が驚いて蹴躓く。それを掴んだ腕でしっかり支えた相手が、「わるい。訊き忘れたことあって」「なに?」「レポート。あれって何枚までだった?」「え? ええと……」動きを止めて言い淀んだ彼の背中に手をやり、「とりあえず歩こう」信号を渡るよう促す。
 歩みを揃える二人を見ながら、彼らを追い越さないよう、私は自然とペースを落としていた。
「ちょっと待ってな……
 黒髪の子は肩掛け鞄にごそごそ手を突っ込んで、それから、皺が寄った紙を確認した。
「ええと、四百字詰め原稿用紙五枚程度」信号を渡りきる。金髪の子が背中にやっていた手で彼ごと引き寄せ、彼より背が高いため首を曲げて手元を覗き込んだ。「うへえ。程度、っていうのが一番困る」「だよな」
 そのままレポートを出したらしい教授の不満に移りかけた会話は、「いやいやいや」今度は黒髪の子が腕を掴んだことにより一旦止まった。私の方──私の後ろにある信号を振り返り、隣の背の高い金髪の子を見上げる。
「なんか普通に歩いてきちゃってるけど。いいの? きみ家あっちだろ」
「いいよ。もう渡っちゃったし」
「いや戻れるだろ」
「だってまだ話してたい」
「ええー素直……なんだよそれ……
 黒髪の子はわずかにまごつくと、「仕方ないなあ」わざとらしく言い彼にじゃれついた。腰にタックル(というより体格差で抱きついているように見える)をしつつ、向こうにあるコンビニを指差す。「じゃああそこまでな。僕ん家遠いんだから」「分かった」「とか言っていつもめちゃくちゃ送ってくれやがるからな……」「話してると、つい」「家が近かったらいいのになあ」「ほんと。それに尽きるな」
 彼らの歩みは遅かった。大体、話をしている人間の歩みは、ひとり歩く女の歩みより遅い。もうすぐで追い抜いてしまいそうだ。
 私は目について離れない彼らの様子を、せっかく拾った声の会話を、目と耳から追い出すのをとても惜しくなりながら、結局、それでも自分の世界に戻ることにした。だって、いつまでも着いては行けない。彼らを追い抜き、また人を見ないようにして歩く。
 後ろから、男の子二人の笑い声が、ほんの少し、私の世界に繋がりをもたらしていた。